旅行に安心をプラスする”ホームトラベルエージェンシー”
旅行会社、ホテル勤務で営業修練
福岡市内で旅行代理店を営んでいる。2006年に創業十周年を迎え、今年で十二年目。東京の大学を出た後、地元では大手の旅行代理店に勤務したのが、旅行業界に足を踏み入れるきっかけになった。
営業に配属され、会社回りに明け暮れた日々を昨日のように思い出す。飛び込みの会社訪問をしていたときのこと。ただあいさつをして名刺を差し出すだけでは印象が薄いと思い、ポケットに栄養ドリンクを忍ばせ、あいさつと同時に「お疲れ様です」と差し出した。すると、ちょっとしたサプライズで相手の警戒心が解ける。そこから切り込んで話を聞いてもらうのが、若い頃の私のやり方の一つだった。仕事につながることも少なくなかったので、案外面白い趣向だったのではないかと思っている。
ところが10年目の年、会社が倒産するという事態に見舞われた。私は転職を余儀なくされ、福岡市内のシティホテルに勤務することになった。
ここで思い出すのは、毎年夏の恒例イベント、ビアガーデンのチケット販売。入社間もない私が、当時のナンバーワンと競り合った。相手は大口の顧客を抱えており、電話一本で五十枚、百枚を捌く。ところがこちらにそんな当てはなく、友人・知人に十枚、二十枚の単位でチケットを送り、宴席を設けてくれるよう頼み込んだ。結果、トップにはわずかに及ばなかったが、一千枚以上を捌いて2位になった。何より「やる」と決めること、また縁の大切さを実感したものだった。
チケット一枚からデリバリー
こうしてホテルに2年勤務した私だったが、やはり旅行業への思いは断ちがたく、1996年に脱サラ、今の会社を設立した。それから一年も経たないうちに、社員を大幅に増員し、東京営業所を開設した。
しかしこの展開は誤算だった。この先行投資が大きな負担となり、程なく倒産寸前まで追い込まれてしまったのだ。結局、社員の解雇、全財産の処分を経て、私と妻、当時の経理部長と3人で再スタートすることになった。それから4年くらいは、死に物狂いだった。下手をすると仕入れの資金さえ事欠く状況だったが、仕入先の方々から心温まる応援の言葉をいただいたことは今も忘れられない。
こうして事業が軌道に乗り、現在に至っている。モットーにしているのは、地元の福岡市内におけるチケット一枚からのデリバリーだ。出張関係、とりわけ東京出張については、どんな要望にも対応できる体制を整えている。
また、当社は今、”ホームトラベルエージェンシー”を掲げている。これは、旅行のホームドクター、つまり掛かり付けの旅行代理店として利用してもらうことだ。急な出張が入ったとき、思い立って旅行に行きたいと思ったときに、気軽に相談できる。これによりお客様は安心を手に入れ、フットワークを何倍も軽くすることが出来る。
これからも旅行業を通じて、福岡の人々のお役に立って行きたい。
[プロフィール]
石川哲也(いしかわてつや)
株式会社ティーアイプロジェクト 代表取締役社長
1959年福岡県生まれ。中央大学商学部卒。
旅行会社勤務、シティホテル勤務を経て96年に独立し株式会社ティーアイプロジェクト(福岡市中央区大名2-2-1)を設立。
福岡東南ロータリークラブ会員。
福岡県中小企業家同友会会員(福博支部)。
「安定は幻想、不安は希望」が座右の銘。
会社住所:福岡市中央区大名2丁目2-1 ワコービル4F
TEL:092-713-7133
URL:http://www.tipro.jp/
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