01◆福岡11区国会議員/候補に聞く
京築・田川地区の経済を元気にするには
02◆頑張れ!MOJI LINE
6月の乗船率14%と厳しい船出だが、地元北九州の期待は大きい
03◆「洞爺湖サミットとポスト京都」
~温暖化対策にどう取り組むか~(2)
04◆「洞爺湖サミットとポスト京都」
~温暖化対策にどう取り組むか~(3)
01◆福岡11区国会議員/候補に聞く
京築・田川地区の経済を元気にするには
自由民主党山本幸三衆議院議員 その2
「大切なことは、国際的な競争力を前提として、地域の産業政策を練っていくこと」
――交通網の整備が進み、次に福岡11区に必要な経済政策はどのようなことでしょうか。
山本:
まずこの地域にある第2次、第3次産業での企業や技術の可能性、農林水産など第1次産業の可能性をよく見極めることが必要だと思います。
最初に第2次、第3次産業で見てみましょう。日産自動車など自動車産業、その関連産業が苅田町に集積し、多くの雇用を生んでいます。TOTOさんは朽網と中津に工場があり、関連企業や雇用で京築地域に大きなつながりを持っています。
安川電機さんも行橋に「ドライブセンタ・システムエンジニアリングセンタ」を構えています。世界的に競争力のある企業や技術が既にいくつも存在している訳です。
日本国内の経済活性化を考える場合でも、大切なことは「国際的な競争力を前提として、地域の産業政策を練っていくこと」です。これらの既存企業を核に、更に新しい時代を創る企業を地元から育成したり、誘致を進めることが、重要な戦略だと思うのです。
アメリカに留学や研究員として滞在していた時に、ボストンの成功例を見てきました。ルート123号線沿いに、大学や先端企業、シンクタンクが集まる「テクノロジーハイウェイ」が出来上がっているのです。先端技術や企業が集まることで、更に多くの人や情報が集まってくるのです。京築地域は西日本工業大学、苅田工業高校をはじめ、地元の教育レベルは高く、技術系の人材を輩出できる素地は十分にあると思います。
ただ、先端企業の誘致や地元企業の育成を進めていくには、待っているだけで実現するものではありません。企業が「進出しよう」と思わせる仕掛けが必要です。
取材 松尾潤二
続く
02◆頑張れ!MOJI LINE
6月の乗船率14%と厳しい船出だが、地元北九州の期待は大きい
先日、門司区内を運転中、見慣れぬ外国ナンバーのワゴン車の後ろを走った。ナンバープレートをよく見ると、「PUSAN」と記されていた!
「オー、これはMOJI LINE就航のお陰で、韓国の人が九州に車で来るようになったのか!」と喜んで見ていた。
しかし、6月の乗船率が発表され、定員542人に対して14%と、非常に厳しい船出だったことが発表されている。まだスタート時点で旅行商品として組み入れられていないことが大きな原因だと思われるが、年間15万人弱の目標に対して、この乗船率では5万人に届かないことになる。
地元の観光関係者や北九州の行政も、以前の小倉-ウルサン/釜山高速艇の失敗があり、今回のMOJI LINEに対する期待は大きい。既にHISでは「MOJI LINE就航記念!門司-釜山フリープラン」を3日間9,800円~4日間39,800円(出発日、ホテルで大きく代金変わります)を売りしだしている。
http://www.his-j.com/fuk/sp/tokushu.asp?mojipusan
関心のある方は、お問い合わせされてみてはいかがだろうか。
これから北九州・釜山双方で旅行パッケージ商品が販売され出したとしても、航路が立ち上がった最初の時期こそ集中して旅客動員の梃入れが必要だろう。
関係者にヒヤリングしていくつか問題点が出てきている。
問題点1:フェリー船体が旧式で、船室のリニューアルが望ましい!
* 就航前の内覧会に出席した、ある市議が早急のリニューアルを強く訴えていた。
問題点2:一般旅客の自家用車の持ち込みは、まだ対応できない。
* 下関発着の関釜フェリーでは自家用車の持ち込みが可能になっている。
* 先日見かけたPUSANナンバーは関係者の車だったらしい。
問題点3:釜山から北九州に具体的な目的を持ってきてもらえる「テーマの設定」ができていない。
* 「環境&ロボット産業観光」など北九州独自のコース作りは可能だろう。
「日韓フェリーMOJI-LINE」という就航を記念して作られた歌がある。
地元でまちづくり活動に熱心な、めがね・時計店を経営する吉田清春氏が作詞、果物屋を経営している山形公規氏が作曲している。
♪橋を架けよう 日韓の
心と心を つなぐ橋
海峡またぐ 船が出る
希望を乗せた ドラの音
MOJI-LINE(モジライン)の
出航だ
祝うカモメと波しぶき
賑わう門司港 後にして...
この歌のように日韓をつなぐMOJI LINEには、希望を乗せて運行し続けてほしいと願う。
取材 松尾潤二
03◆「洞爺湖サミットとポスト京都」
~温暖化対策にどう取り組むか~(2)
郡嶌孝・同志社大学経済学部教授 特別講演
2.6%、7%、8%は政治的妥協の産物
1997年12月に京都で開かれたCOP3(第3回気候変動枠組条約締約国会議)で、日本:6%、米国:7%、EU:8%のCO2排出削減目標が示された。
これは、国益のみを考えて進めることが難しいとの判断から、先進各国が示した妥協の産物と言える。
京都議定書の内容は首相官邸を中心に官僚がまとめたものだが、英国の影響が大きかった。英国のプレスコット副首相は、このままでは妥協点が見出せないと判断。日本が纏めきれない。リーダーシップをとることができない。会議が決裂する可能性すらあると見たプレスコットは、京都から首相官邸(当時、橋本首相)に出向いた。
そこで、米国のゴア副大統領とともに、「6・7・8」という政治的な妥結を図り、それぞれ自国に有利な条件を付け加えた。
EUは「EUバブル」という概念を付け加えた。EU加盟国がそれぞれ上限何パーセントとするのでなくて、EU全体で何パーセントと決めるものだ。でないとEUが分裂してしまう。南欧地域は工業化が余り進んでいない。北部地域のドイツなどが中心になって努力することで、EU全体で8%の削減目標を示した。
米国は1980年に国内で酸性雨などの関連で、硫黄酸化物について排出権取引の制度を経験した。そうした経験の上に立って、排出権取引のメカニズム導入を提案した。
また、日本の場合は吸収源としての森林を整備することで、二酸化炭素を吸収するという案を出した。こうした形でそれぞれに「逃げ道」を用意することで、妥協が図られたわけだ。
しかし、当時、国内景気がよかった米国では景気の減速を懸念して議会で批准されなかった。その後、ブッシュ大統領になって、米国は京都議定書から離脱した。
EUの場合は一様、達成したと見ることができる。ただし、1997年段階のEUを見ると二酸化炭素の排出量は増加した。しかし、EU加盟国それぞれに割り当てられた排出量は確実に削減されている。国別に見ると、英国とスウェーデンは既に達成しており、ドイツも達成間近だ。
2000年以降、中・東欧諸国が加わりEUが拡大してきた。こうした国々には倒産した工場が多いため、二酸化炭素の排出量がゼロに近い。したがって、EU全体で見ると、既に目標を達成していることになる。
経団連や業界を中心に省エネに努力してきた日本の場合、雑巾を絞った状態のなかで更に6%削減ということで、一番厳しい条件が課せられた。米国はできないことが見えてくると離脱し、EUはしたたかな計算をした。日本だけなかなか目標を達成できない状況になった。
(取材:森脇喜一)
04◆「洞爺湖サミットとポスト京都」
~温暖化対策にどう取り組むか~(3)
郡嶌孝・同志社大学経済学部教授 特別講演
3.「スタンス」の異なるEUと米国の温暖化対策への取り組み
昨年12月にインドネシア・バリ島でCOP13が開催された。2012年以降、ポスト京都を考えるには、来年までに何らかの合意を見なければいけない。おそらくデンマークで開かれる締約国会議(COP15)でなされるだろう。それまでに合意の道筋を作らなければいけない。
こうしたなか、昨年から今年にかけてIPCC(気候変動に関する政府間パネル)で、温暖化に関する科学的な知見を精査するなど、ポスト京都を議論するための土台づくりを行っている。
また、温暖化が進んだ場合の経済的な影響についての報告書として、「スターン・レポート」がある。これは英国政府の正式な報告書で、作成者のニコラス・スターンはブレア政権の財務長官だった。
この報告書は、何もしない場合、どれ程の経済的影響があるか。また、どれだけのコストを掛ければ、どの程度の被害を防げるかといった内容であるが、世界のGDPの1%ずつを地球温暖化防止対策に使うことが望ましいとしている。
予防的に望ましい方法を採るか、事が起こった時に対処するか。EUと米国では全くスタンスが異なっている。
EUの場合は「予見原則」。即ち科学的な知見が100%でなくても、事態が深刻になりそうならば、早めに取り組むべきと考えている。科学的に100%の危険性が判明した場合、もう取り返しがつかない。早め早めに温暖化対策を打つというのがEUのスタンスだ。
しかし、米国の場合は「全米環境教育法」が基本にある。連邦政府が環境政策に取り組むときに守らなくてならないこの法律には基本的に2つのことが書かれている。
全ての政策について透明性を持つこと。民主的かつ科学的な知見に基づいて行うことだ。米国では100%分かっていないと実施できない。予測が間違っていたらとんでもないことをやっていたということになる。後悔しないよう、科学的な知見が100%になった段階で取り組む。これが米国のスタンスだ。
ブッシュ大統領の個人的な利害関係や国益のみで動いているのではなく、こうした原理・原則(principle)に基づいて動いていることに留意しないといけない。
しかし、日本にはその原理・原則がない。国際的な取り決めを行う場合は、このプリンシプルをどのように形成するが重要だ。日本は折衝(negotiation)とか、技術的な交渉だけを繰り返している。自国の「国益」と「プリンシプル」があるか否かが重要な意味を持ってくる。
(取材:森脇喜一)
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