昨年6月の国交省による改正建築基準法の施行は、経済に大きく水をさす結果となった。
住宅産業は裾野の広い産業であり、着工件数の増減は経済に甚大な影響を与える。これまで、住宅不況の場合、住宅取得者の税控除や低金利政策などにより、着工件数の増加を促す政策が取られてきた。経済がやっと浮上している時期に取られた今回の政策の失敗は、後に起きたサブプライムローン問題の影響と重なり、一気に住宅産業を押し潰してしまった。住宅着工件数により検証してみる。
1、着工件数から見た改正基準法の影響
(1)改正基準法の影響は、昨年上半期と下半期の着工件数の差で歴然としている。上半期604,547戸が下半期は456,194戸、24.54%の大幅減少となった。
(2)内容別に見ると、分譲マンションへの影響が一番大きく118,827戸から50,091戸に激減、率にして57.85%の下落率で大暴落である。
(3)賃貸住宅・マンションも249719戸から192014戸へ大幅減少、率にして23.11%の下落率である。
(4)比較的影響を受けなかったとされる戸建(持ち家)と分譲戸建も、計229,783戸から209,320戸に減少、下落率は8.91%。
総じて、住宅着工件数がやっと増加に転じてきたのに、水をさした国交省である。(続)
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