新しい売却先を模索
サブプライム問題に端を発する、金融マーケットの混乱の影響を受けている同社。当初予定していたイグジット(出口)であるはずの投資ファンドが資金調達できず、その結果、物件の売却が進まずに、その物件を抱え込んでしまうケースが出ている。
下の表は、同社が現在進めている主要物件の一覧。1~10が非レジデンシャル物件、11~16がレジデンシャル(住居系)物件である。このなかで、具体的に交渉が進んでおり、今期中の売上になる可能性が高いのは、4、6、8、9、13、14番の物件。8の名古屋市の物件は、すでに今年7月での売却が決定している。また13は、AIGグループと契約済みであり、09年3月の売却予定。14も契約済みで、今年8月の売却が決定している。
契約済みを除く物件で、同社にとって最優先となるのが、9の旧・ハミングバード駐車場である。06年12月に重松商事(株)から約35億円で取得し、その後は隣接地も買い足している。当初、この物件は、外資系ファンドへの売却が内定したと言われていた。だが、交渉が流れたことで、現在は国内大手の貸ビル業者との交渉が行なわれていると言う。金額は、同社が当初設定していた金額に近い線で進められているようで、特別に安売りをしているわけではない。ただ、早期の売却を望んでいるため、土地だけ先に売却し、後から建築を請け負う形態も視野に入れているようだ。
4の宮崎のホテルは、売却予定だったファンドが3月末に決済できなかったことで、最終的には合意解除となった。10の大分のホテルも同じファンドに売却予定だった。宮崎では、5月30日より自社でホテル運営を行なっており、現在は国内のホテル運営会社との交渉が進められている。
不動産市況の変化により、ファンドの潮流が変わったことで、同社は個人投資家向けビジネスの再興を方針として打ち出している。ただし、前述のように仕入済みの物件があるため、当面はこれらの販売に注力していく考え。市況を考慮したうえで、今後の方向性を決定していく方針である。(続)
※記事へのご意見はこちら