【独走スクープ】
博多港開発と銀行間の契約に重大な瑕疵判明!
市港湾局「間違い」認める
福岡市の第3セクター・博多港開発(株)と、福岡銀行をエージェントとして地場金融機関との間に締結された契約書に、重大な瑕疵があることが判明した。契約書に「間違い」が存在することについて、福岡市港湾局も事実関係を認めている。巨大公共事業をめぐり、博多港開発と金融機関との間で極めて杜撰な契約書が結ばれていたことになる。
さらに、契約締結からデータ・マックス取材班が指摘するまでの約3カ月間この問題が表面化しなかったということは、人工島事業が「間違った契約書」に基づいて進められていたということにほかならない。事業そのものの信頼性が損なわれたといっても過言ではない。契約書の作成段階から関わったはずの福岡市の責任も問われることになるうえ、注目の「こども病院」人工島移転にも影響を及ぼす可能性が出てきた。
契約書及び関連文書については、先月、取材班が福岡市に情報公開請求し、今月17日に公開されたことを報じていた。
問題の契約書は、都市銀行が撤退し、従来の協調融資銀行団が解体されたことから新たな融資枠組みが組成された今春、締結された。契約はふたつに分かれている。
*既存債務132億円については、福岡銀行、西日本シティ銀行、福岡中央銀行の3行で引き受け、福岡銀行を「エージェント」として平成20年3月26日に締結された「金銭消費貸借契約書」。(エージェント・株式会社福岡銀行、借入人・博多港開発株式会社、貸付人・株式会社福岡銀行、株式会社西日本シティ銀行、株式会社福岡中央銀行)
*平成19年度の一部と20年度に係る新規融資40億円分については、4月30日に「限度貸付契約書」(エージェント・株式会社福岡銀行、借入人・博多港開発株式会社、貸付人・株式会社福岡銀行、株式会社西日本シティ銀行、福岡ひびき信用金庫、株式会社広島銀行)が締結されていた。ふたつの契約とも平成21年6月31日を「貸付満期日」とする暫定的な契約であるとされる。
問題となったのは、4月30日に結ばれた40億円分の「限度貸付契約書」である。同契約書18条(借入人の確約)(4)の⑦には人工島の不動産24筆・338,380㎡について、その販売実績加重平均が、博多港開発による事業計画書の基準価格(平成16年作成分)を下回らないこと、とされている。この「基準価格を下回らないこと」という文言が間違いだと市港湾局はいう。
実は、前述の132億円の「金銭消費貸借契約書」第17条(借入人の確約)(4)の⑦にも同様の条文があり、そこでは「基準価格の80%を下回らないこと」とされているのである。つまり、対象が同一の土地であるにもかかわらず、販売価格が2通り存在してしまうことになる。ちなみに、従来の協調融資銀行団との「協定書」では、土地の販売価格は基準値の80%以上とされていた。
「限度貸付契約書」の文言(上)と、「金銭消費貸借契約書」の文言(下)を比較すると、「限度貸付契約書」では「80%」の表記が消されている。
福岡市港湾局は、4月30日に締結された「限度貸付契約書」の「基準価格を下回らないこと」という文言は間違いであるとした上で、博多港開発に訂正を指示したとしている。しかし、契約から3カ月近く経っているうえ、同契約書にしたがい、融資も実行されていることから、どのような形で「訂正」されるのか全く分かっていない。
人工島事業にかかわってきた博多港開発や福岡市のOBからは、「通常では考えられない」「ミスで済む話ではないし、本当に間違いなのかさえ疑わしい」「アイランドシティへの信頼性を失う重大な問題だ」「こども病院移転用地の売却額を高値にするための高等戦術ではないのか」「福銀が幹事役で結ばれた契約書に間違いがあるとは思えない」といった声もあがっている。
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