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快進撃を続けてきたが市況の変化に揺さぶられる (株)ディックスクロキ(3)
特別取材
2008年7月23日 09:30

今期以降の業績に影響

 上場以降も、7期連続の増収、また直近5期では増益も果たしており、業績は右肩上がりを続けてきた。しかし、08年3月期決算では、改正建築基準法の施行やサブプライムローン問題の影響などもあり、当初の売上計画値287億円を6.6%下回る268億100万円となった。このため、経常利益も計画値を7.6%下回る15億2,500万円、当期利益も計画値を10.2%下回る8億5,400万円となっている。

 同社にとって大きな問題は、今期以降の業績である。前期までは、それまでの蓄積があったことで、計画値から大きく狂うことはなかった。しかし、今期および来期は、前期中に物件販売が進まなかったことの影響が出てくるだろう。09年3月期の売上予想は298億円だが、この数値の達成は例年と比べると、かなり厳しいものになることが予想される。07年3月期では、期中に261億2,500万円の受注があり、147億8,000万円を受注残として08年3月期へ持ち越した。08年3月期は、この受注残がベースとしてあったため、ほぼ計画通りの売上を達成できたが、08年3月期中の受注高は105億円に留まり、09年3月期へ持ち越した受注残は46億3,800万円しかない。つまり、08年3月期には、前期の受注残147億8,000万円と当期受注を合わせて268億100万円の売上高を計上したが、09年3月期では前期からの持ち越しが46億3,800万円しかないにもかかわらず、298億円の売上高を目指すことになるのだ。今期は抱え込んだ物件を販売しながら、前期を大きく上回る受注を行なわなければならず、売上達成のハードルは高い。

 また、前期中に物件販売が進まなかったことで、棚卸資産や借入金が大きく膨らむという財務内容の悪化を招いている。07年3月期の有利子負債は111億5,360万円で、総資産に対する借入依存度は49.9%。08年3月期には有利子負債が183億2,562万円にまで膨らみ、借入依存度も65.6%に上昇している。キャッシュフローを見ても、営業活動に関するキャッシュフローが76億436万円のマイナスで、財務活動によるキャッシュフローが69億4,081万円のプラス。売るべき物件と返すべき借入金が残ったままのかたちになっていることを顕著に表している。借入金によりレバレッジをかけて収益を上げるのが同社のビジネスモデルであり、一定水準の有利子負債はやむを得ない業態だが、ここまでの有利子負債の増加は、やはり重たい印象だ。さらに、販売までの期間が長引けば長引くほど、この重たさが増していくことになる。

 繰り返すようだが、最優先課題は抱えこんだ非レジデンシャル物件の販売、とくに旧・ハミングバード駐車場の決着である。これらの販売を進めながら、個人投資家へのシフトを図っていく考えだが、今度は売上規模の問題も浮上する。ファンド向けに大型物件を供給してきたが、個人投資家相手となれば、大型物件の供給が、今までのようには期待できないと考えられるからだ。「土地の仕入れは厳選しており、バブルに乗ったような仕入れは行なっていないため、全体として大きな損切りをするようなことはない」(同社)とのことだが、物件を抱え込んだ状態からは、できる限り早く脱却したいところだろう。 今後の市況の変化にもよるが、ビジネスモデルそのものを見直す時期が来ていることは間違いない。創業以来、同社は最大の岐路に立っていると言えるだろう。



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