償還時の不安高まる
各々のファンドは3年満期で、満期になると保有不動産を外部に売却して売却代金を各投資家に分配して解散してきた。だがレイコフは、償還時期が来るたびに新しいファンドをつくり、既存の投資家の乗り換えを誘導してきた。06年頃は、償還時には11%の利回りがあったが、次第に不動産価格が上昇すると安値で仕込めないため、大きな値上がり益を享受しにくくなり、利回りは10%→9%→7%と徐々に低下していった。
今のところ、償還時に元本割れしているものはないが、これから先は実に微妙だ。高木証券の幹部は、「償還時に不動産を売って分配するので、不動産の時価が購入価格よりも下がっていると、ロスが生じてしまう。まだそうしたケースは出ていないが、今後出てくる可能性がある」と戦々恐々だ。そうなると、初の不動産投資ファンドのデフォルトリスクが高まってくる。
レイコフの不動産ファンドには、「レバレッジを効かす」というカラクリがある。小口投資家の個人資産だけであればまだしも、個々の不動産ファンドは銀行から非遡及型(ノンリコース)ローンで資金を調達してきた。優先返済順位はノンリコースローンのほうが高いので、銀行側は分配時、優先的に返済を受ける権利を有する。逆に、小口投資家はエクイティに当たるので返済順位は劣後する。つまり、出資額のかなりの金額が毀損してしまう小口投資家が現れないとも限らないのだ。
山本氏からレイコフの不動産ファンドへの投資家募集を求められた関西系証券会社のトップは、「永遠に地価が上がり続けないと、うまく回らない仕組みだったのでお断りした。それを受け入れた高木証券さんの了見を疑う」と手厳しい。高木証券によると、5月下旬までにこれまで18ファンドが無事償還した。今後、残りのファンドが2、3カ月おきに償還期を迎え、すべてが片付くのは2年数カ月先になるという。それまでの間、いつ地雷が爆発するかと不安でたまらないだろう。金融庁は情報開示や投資家募集がきちんと行なわれていたかどうか、近く高木証券から詳しい事情を聴く方針だという。
※高木証券の高は「はしごだか」
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