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特別取材

増え続けるエイズ患者 カンボジアからの悲痛な叫び(下) | 特別寄稿
特別取材
2008年7月24日 09:30

病棟の暗い現実

 病院には何が必要ですかという問いに、ソッコム院長、キム・テン副院長はそろって「薬」であると強調した。「薬があれば延命できる、痛みを緩和できる」と。
 それ以外にも必要なものは多数ある。それらを優先順位の高い順に記すと、
(1)入院患者とその家族をサポートするための資金(病院運営資金、食費や日用品購入費)
(2)救急車(ラタナモンドールなど遠方から、エイズのためだけではなく多数の患者が訪れるため)
(3)各種装置(とくに超音波治療・血液検査の装置。その他にも必要な装置は多数あるが、この2つの優先順位が高い)
(4)診察室、研究室、病室(患者増加に伴い、場所が不足している)

 また、キム副院長は、患者の診察と同時に、エイズについて多くの人に知ってもらうことが、問題解決において重要であると述べた。患者を救うこと、そしてこれ以上患者を増やさないこと。この2つがあって初めてエイズ問題は解決に向かうのだ。

 入院病棟には、病気によって体の弱った患者が多数入院している。寝たきりの患者も少なくない。患者の家族はベッドの脇で静かに座ったり、食事の準備をしたりしていた。母親がエイズで入院している子も、その子が感染しているかどうかは、まだ体が小さすぎるため検査できないという。

 「カンボジアでは今も増え続けているというエイズ。その深刻さを改めて感じた。静まりかえった暗い病棟で横たわる患者の方々を目の前にしたとき、鳥肌がたち、言葉が出なかった。弱りきった体で、必死に病気と闘う姿、死という現実。自分が患者だったらと想像するだけでも恐ろしかった。辛く、悲しく、やるせない気持ちでいっぱいになり、涙がこみ上げてきた。カメラを向けるのが本当に本当に辛かった。どうすることもできないのかと悔しかった。エイズ治療の最善の方法を知りながら、その治療を行なえない現実が辛かった。苦しむ患者の方々のために何ができるのか、そして、これ以上辛い思いをする人が増えないよう、何をするべきかを考え、行動したい」渡邉氏はそう語った。



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