01▼だまされた市民 ねつ造された建設費
02▼こども病院人工島移転再考 その22
「何が論点なのか」医療関係者同士のやりとり第4幕
03▼病院の人工島移転で市長へ質問状
「公約と矛盾する」と共産党市議団
04▼市長の週間予定表
工事費 1,5倍に水増し! 積算根拠なし! 水増し額40億円超
吉田市政「検証・検討」欺瞞の証明
福岡市の人工島事業「検証・検討」報告書に記されていたこども病院現地建替えの工事費用の一部が、積算根拠のない「口頭」でのやりとりによるものだったことが明らかとなっていたが、工事費そのものが「ねつ造」ともとられる水増しした数字だったことが判明した。
検証・検討では、こども病院の現地建替えについて、工事費を128億3千万円としたうえで、現在の建物の解体など、ローリングにかかる費用を約42億8千万円(工事費の約33%)と記していたが、この数字に積算根拠がないことが判明していた。(昨日既報)新たに分かった事実からは、工事費算出の基礎となる数字を、福岡市側が大幅に膨らませており、捏造ともとられかねないその手法は、検証・検討作業が欺瞞であったことを証明するものとして議論を呼びそうだ。
福岡市は、市民病院・こども病院の統合移転計画を検証・検討して「見直した」としてきたが、こども病院の現地建替えの是非を含む、ふたつの市立病院の経営分析業務を東京本社の業者に委託していた。この業者は、従来の「統合移転案」推進のアドバイザー業務を請け負っていたことから、お手盛りの検証・検討であったことはすでに報じているが、ここが市に提出した「福岡市立病院経営分析報告書」には、こども病院の現地建替え案のデメリットを強調し、この案を排除する方針が明記されていたことも明らかとなっている。
業者の報告書には同病院の現地建替えにかかる工事費として、85億5千万円が計上されていたが、福岡市の見直し案である「アイランドシティ整備事業及び市立病院統合移転事業 検証検討 報告書」では、128億3千万円かかると記されていた。差額の42億8千万円について、福岡市の元担当課長に聞いたところ「実績のあるゼネコン3社に口頭で聞いて回った。それなりの信憑性はあると思っている。積算根拠は、といわれればない。」と語っていたが、その後の調べで、工事費全体を水増しし、大幅に増額したものを検証・検討結果として公表、現地建替えには多額の費用がかかるように見せかけていたことが浮かび上がった。
業者作成の建替え工事費の内訳 | 「検証・検討報告書」は工事費が大幅に水増しされていた |
▲クリックすると拡大されます |
業者が市に提出した報告書では、現地建替えの場合の工事費を85億5千万円、このうち10億6千万円を架設や解体工事費(市の表現では『ローリング費用』)としており工事費全体の12.3%を占めると明記している。
これに対し、福岡市の検証・検討は、業者の提出した報告書をそのまま使いながら、工事費の数字だけを大幅に増やしていた。担当課長によると、「ゼネコン3社に『業者の報告書』を見せた。実際の工事では、(85億5千万円という業者見積りの)1,5倍くらいが妥当ということだったので、(128億3千万円に)増額した」と明言した。
1,5倍の根拠について追求したが、「ゼネコンの実績に基づくもの」という薄弱な根拠しかないという。改ざんではないかとの質問には「そうではない」とするが。建物の建設工事費を10億6000万円増やし、新たに42億8千万円ものローリング費用を創出したことになってしまう。公共事業に積算根拠がないということは考えられないことであり、その点についても問いただすが、満足な答えは返ってこなかった。
「吉田市長は知っていた」 担当課長明言
業者の出した85億5千万円を1,5 倍にしたことについて、吉田市長は知っていたのか、と聞いたところ担当課長は「ご存知です」と明快に答えた。吉田市長は、適当な水増し数字で「現地建替え」を否定した事実を知っていた!市民に対する背信行為を絶対に許してはならない。
【特別取材班】
02▼こども病院人工島移転再考 その22
「何が論点なのか」医療関係者同士のやりとり第4幕
7月10日に行われたこども病院人工島移転に関する説明会での、周産期医療の専門家で久保田麻酔科・産婦人科医院院長の久保田史郎院師と福重淳一郎こども病院院長のやりとりの第4幕。周産期医療はただ命を救えばいいのではなく、元気に救わねばならないので、やはり場所についての検討が不可欠で、また人工島では不適であると指摘する久保田医師に対し、論点がわからないのか、とぼけているのか、これに対して福重院長は何とも頓珍漢な反論を始める。
福重院長:
久保田先生の言う通り、予防医学の重要性というのは認識しています。また、正常分娩の7割が開業医のみなさんのところでなされるということは、ここ4、5年は変わらないと思います。新こども病院の開院までは、これは急いで欲しいんですけれども、少なくとも4年、5年かかる。
しかし、さらに5年後10年後、この地域で通常分娩の経営(開業医のこと)ができないという状況が出てくれば、ニーズは子ども病院の機能で対応しなければいけないはずなんです。当然求められる医療には対応しなければならないと思っております。
【記者解説】
そもそも久保田医師は「将来、福岡市の通常分娩を担う産婦人科医が減るのは確実だからこども病院の周産期医療センター創設自体には少しも反対ではないが、場所を選んで作らないと、患者が来なくなって採算が合わなくなり、周産期医療センターを作る意味がなくなりますよ」と指摘しているのであり、本来であれば、福重医師は、こども病院を人工島に移転しても、年間の患者数はきちんと確保でき、また、人材難といわれる産科医、小児科医などの医療スタッフ確保の見通し等を明確にしたうえで、人工島移転の「費用対効果」を説明すべきなのだが。
とぼけているのか、論点がわからないのか、ただひたすら「将来、今、通常分娩を担っている開業医が減るのだから、その分のニーズをこども病院の周産期医療センターで応えていかないといけない、だから新こども病院は必要だ」との主張に終始する。周産期医療機能の整備をしたうえでの新こども病院には誰も反対していないのだが…。福重院長は患者の「移転反対」を「新こども病院反対」だと勘違いしているのではないだろうか。
このやりとりを聞いていると、こども病院のトップは大丈夫だろうかと、納税者の一人として疑問を感じる。が、どうやら、機能を整えてさえおけば患者が病院にやってくる、などと考えているようではないか。
これに対して、久保田医師は止めの一言を叩きつける。(第5幕につづく)
【日下部晃志】
03▼病院の人工島移転で市長へ質問状
「公約と矛盾する」と共産党市議団
25日、福岡市立こども病院人工島問題に関する質問状を、日本共産党福岡市議団が吉田宏市長あてに提出し、記者会見した。市が今月中に人工島移転を決定するとしていることから、7月31日までの回答を求めている。
質問状の要旨は以下の3点である。
(1)
人工島移転に対する市民の反対世論は高まっている。市民を納得させる説明を一切してこなかった。請願署名は9万超、患者家族による7万超の署名も市長に提出されている。市議会も反対請願を不採択できなかった。今月中としている最終判断をやめ、移転を白紙撤回するとともに、現地あるいは周辺での整備を含めて検討しなおすべきである。市長の見解を問う。
(2)
こども病院を新しく整備する際の敷地面積について、市の検証・検討報告では1.5~3ヘクタールとしていたが、説明会などで「最低3ヘクタール必要」と変わった。しかし病院事業運営審議会の答申でもそのようなことはまったく示されていない。市長の説明を求める。
(3)
市が今年6月11日に特命随意契約で委託した業者に対する委託は今回で5回目となり、総額2億7800万円余にのぼる。山崎前市長が人工島への市立2病院の統合移転を前提とした業務を委託している業者である。また同業者の報告書では現地建替えについて結論ありきのシミュレーションを行っている。こども病院の移転先を人工島に導くための業務を指示してきたのは、市長の「見直し」公約と矛盾するのではないか。
(平成20年7月28日~8月3日)
<28日>
14:00 ~ 記者会見(市役所記者会見室)
16:00 ~ 福岡経済同友会シンポジウム(ホテルニューオータニ)
<29日>
東京出張
15:00 ~ 指定都市市長会市長会議(グランドアーク半蔵門)
<30日>
11:00 ~ 総務大臣との懇談会(グランドアーク半蔵門)
<31日>
11:00 ~ 千代保育所飲酒運転撲滅の取り組み「飲酒運転撲滅」(東京・ルポール麹町)
13:30 ~ URC20周年記念シンポジウム(15階講堂)
15:00 ~ 聞きたかけん(中央区大名)
<1日>
8:25 ~ 福岡都市圏「水」キャンペーン2008街頭キャンペーン(ソラリア)
10:30 ~ 創業者応援団報告会(市長応接室)
14:00 ~ 地球温暖化防止シンポジウム(市役所15階講堂)
16:00 ~ 福岡都市圏南部環境事業組合議会(春日市役所)
<3日>
姫路出張
15:20 ~ 黒田都市サミットパネルディスカッション(姫路市)
━ PR ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇ MAXふくおか市政Newsのご意見・ご感想を下記のメール受け付け。
※記事へのご意見はこちら