福岡市博多区の伊藤和彦さん(70)が26、27の両日、水上オートバイで福岡~韓国間の無寄港往復に挑戦する。達成すれば初の快挙らしく、伊藤さんは出発を前に、「過酷な渡航になるのは覚悟している。これまでのトレーニングの成果を発揮し、なんとか往復したい」と話している。
伊藤さんは久留米市出身。36歳のころに胃がんを患い、3分の2を切除した。死を覚悟してからは「きょうを大切に生きよう」と決心し、55歳までは野球、それ以降はマラソンやマリンスポーツなどに挑戦しており、座右の銘は「精力最善活用」。現在は小西第一病院(筑紫野市)の事務局長を勤める。
今回の渡航は70歳になった記念に「韓国までは行ってみたい」と半ば思いつきで決めた。家族に告げずに計画を立て、渡航用の水上オートバイを購入。体力づくりのため、毎朝5キロを走り、ベンチプレスにも励んだ。長距離は初めてだが、博多湾で練習を繰り返し、真っ黒に焼けた。夫人は最後まで反対だったそうだ。
韓国まで片道約220キロ。ビートルの航路でひたすら港を目指す伊藤さんを、母船が伴走する。「天気が良ければ7時間くらいかかるだろう」と伊藤さん。「病院のお年寄りやがん患者に少しでも元気を与えられたら」と夢を語る。
予定では、26日午前7時に博多港を出発し、同日夕方に韓国鎮海市に到着。鎮海市長に福岡市長の親書を手渡し、翌日午後3時ごろ帰港する。
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