「アプローズ」マンションシリーズで、2006年九州マンション販売ランキングで見事1位に輝くなど、福岡を代表するデベロッパーに成長を遂げていた(株)理研ハウス。マンション業界環境の悪化をいち早くキャッチして事業を縮小させるなど、荒れ狂う業界の厳しい波を避けて、港に停泊するという先見性を見せている。
[COMPANY INFORMATION]
代 表:新井 英淳
所在地:福岡市中央区天神1-14-16
設 立:1983年4月
資本金:9,800万円
業 種:マンション販売
年 商:(07/3)209億3,541万円
06年に762戸を販売 九州でトップのデベに
(株)理研ハウスは、1983年4月に現・監査役を務める吉村行夫氏が設立。現代表の新井英淳氏が代表取締役社長に就任したのは94年9月のこと。設立当初から、実質的なオーナーは新井氏であったが、40歳を機に名実ともに経営トップに君臨している。
当初は中村建設(株)と分譲マンションおよび戸建分譲の企画、代理販売の面で提携し、そこで実績を重ねた。
98年に自社ブランドシリーズ「アプローズ大橋南」を販売して、デベロッパーとしてのスタートを切った。「アプローズ」とは喝采という意味があり、それぞれの街で喝采を浴びるものをつくっていくという想いから、このシリーズ名が生まれたようだ。
その後も積極的な事業展開を図り、販売戸数を年々増加させた。福岡県の02年上半期販売ランキングで1位となり、03年には供給、販売戸数ともに九州ナンバーワンにランクインした。06年も福岡県では879戸の供給、644戸の販売の実績を残して両方で1位となり、九州地区では1,104戸の供給、762戸の販売で、こちらも1位にランクされるなど、福岡を代表するデベロッパーの1社に成長を遂げた。
急成長のきっかけ
「アプローズ」シリーズのマンションを福岡都市圏中心に手掛け、03年には長崎に進出。04年には山口と鹿児島、06年には北九州と、販売エリアを着実に拡大させてきた。この間、昨年の5月までに同社が残した実績は、販売代理で2,076戸、自社分譲マンションで4,350戸の計6,465戸である。
98年の自社分譲マンションを開始してから、わずか10年間でこれだけの数字を残したことで、同社の急成長ぶりが窺える。また近年は、長嶋一茂氏をイメージキャラクターにしたCMでも話題となっていた(現在は契約解除)。
短期間でこれだけの実績を残してこれたのは、他社がグレードにこだわるなか、徹底してローコストにこだわったから。1,000万円台を割る物件で話題を集めるなど、「アプローズは安い」というイメージが定着していた。
同社のマンションは、専有面積が比較的小さく、同業他社と比較しても低価格を実現できたことが、大きな特徴のひとつであった。つまり、同じ容積の建物においては、占有面積が小さい分、同業他社と比べて販売戸数が多くなり、トータルの金額が大きくなるというわけだ。また、100戸を超える大型物件の割合が高く、オプションを設定して価格の底上げを図ってはいるが、いまだに1,000万円台のマンションは消費者からの支持が高い。
価格が安いだけではなく、都心へアクセスしやすい立地にもこだわった結果、顧客のハートを掴むことに成功し、急成長を実現した。
つづく
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【イベント情報】官製不況に打ち克つ シンポジウム開催 (株)データマックス
(株)データマックスは、8月26日に1,000人規模のシンポジウムを開催いたします。講師は北川正恭・早稲田大学大学院教授(元三重県知事)、木下敏之(前佐賀市長)、青木茂・(株)青木茂建築工房主宰などを予定しております。北川氏には「生活者起点」の行政改革派の立場から、木下氏には地方行政に関わっていた立場から、青木氏には建築設計に携わっている立場から、それぞれ提言していただきます。
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