▼01 人工島ヘリポートは「特別管理区」
各候補地の条件、同じではなかった!
業務委託報告書から新事実判明
▼02 こども病院人工島移転再考 その25
「必ず人工島でなければ」となってない
▼01 人工島ヘリポートは「特別管理区」
各候補地の条件、同じではなかった!
業務委託報告書から新事実判明
かつてMAX市政ニュースでは、吉田市長が誇らしげに話した、人工島にこども病院が移転した場合のヘリポートについて、空中待機の可能性が高い事から「機上の空論」と揶揄して、移転の決め手にはなりえないと断じた。
この記事に先立ち、地元テレビ局はヘリからの空撮で空中待機となった現実を放映、これ以後、市はヘリポートのことに触れなくなっていた。
その後、どの新聞かは失念したが、こども病院をめぐる連載記事の中で、市内の移転候補地(六本松・九大跡地、九大・田島寮跡地、当仁中学校跡地、香椎副都心、人工島)について、すべてが福岡空港の管制圏に入ることを指摘したうえ、各候補地の条件は同じとする記事を掲載していた。しかし、人工島については、香椎副都心を除く他の移転候補地とは「条件」が違っていたことが明らかとなった。
今回、データマックス取材班が福岡市に対する情報公開請求で入手した文書によると、人工島にヘリポートを作る場合、条件は他の市内の移転候補地とは違い、より困難を伴なうといった趣旨の報告がなされていたことが判明、都合の悪いことは隠し、市民を欺く市の手法に強く抗議しておきたい。
問題の文書は市保健福祉局が特命随契で委託した、福岡市病院事業アドバイザー業務報告書の中の「福岡市立病院ヘリポート設置検討調査業務 報告書」。
同報告書を作成したのは、愛知県に本社を置き、ヘリ・セスナなどを主力に航空事業を行なう企業で、福岡市にも営業所を有している。ヘリポート建設のコンサルタント業務も行なっており、実際に航空事業を行なっているだけに、業務内容の確かさには定評があるとされる。
同報告書では、それぞれの移転候補地について検討がなされているが、すべての候補地を福岡空港管制圏内としたうえで、香椎副都心と人工島(報告書ではアイランドシティと表記)については、「特別管制区」と明記。
特別管制区内にヘリポートを設置した場合、「着陸時の待機時間が発生する可能性が他の候補地より高い」と断定している。
さらに、両候補地については、「より綿密にヘリポート使用条件について空港事務所と調整し、対応方法を検討しておくことが必要」としている。
市消防局との連絡体制、救急搬送と転院搬送の実施条件などについての調整についても「特別管制区」であることからその必要性に言及している。
人工島におけるヘリポート設置は他の候補地より問題が多いことを実証する報告書の存在は、改めて議論の対象となりそうだ。
なお、29日、データマックス取材班の確認取材に対し、大阪航空局管理課も、人工島にヘリポートを設置した場合、「特管区(特別管制区)に入ります」と認目たうえで、さまざまな制約が存在することを示唆している。
【特別取材班】
▼02 こども病院人工島移転再考 その25
「必ず人工島でなければ」となってない
7月10日に行われた福岡市立こども病院の人工島移転に関する説明会での、周産期医療の専門家で久保田麻酔科・産婦人科医院院長の久保田史郎院師と福重淳一郎こども病院院長のやりとりで明らかになった論点は以下のようになる。
なぜ人工島なのか(福重院長の意見)○現在の「年間の受け入れ数」等を根拠として、新病院の患者数は、250~300人と見積もっており、経営は安定する。
○広くて快適なところに移転して、医療機能を充実させれば患者は来るはず
○将来、開業医の高齢化、後継者不足でこれまで70%もあった施設分娩の半分がまかなえなくなるおそれがあり、その分のニーズをこども病院の周産期医療センターで応えていかないといけない。
これに対して、
なぜ人工島ではいけないのか(久保田医師)○開業医の立場からすれば、ハイリスクな患者を、はるか遠くの病院にはわざわざ送らない。従って、その見積もりは過大すぎ、間違いなく新病院は赤字になる。
○将来、福岡市の通常分娩を担う産婦人科医が減るのは確実だからこども病院の周産期医療センター創設自体には少しも反対ではないが、場所を選んで作らないと、患者が来なくなって採算が合わなくなり、周産期医療センターを作る意味がなくなる。
どちらに「道理」があるかは一目瞭然だろう。両者は、「新こども病院は必要」という点において共通する。そして、問題はその「場所」についてだが、福重院長の意見からすると、久保田医師の指摘する「過大な見積もり」を根拠に、「人工島でも新こども病院の経営は安定する」という結論を導こうとしているが、「必ず人工島でなければならない」という理由にはなっていないことがわかる。「○○でいい」と「○○でなければならない」のとでは雲泥の差がある。つまり、人工島以外の選択肢もありうるという印象を拭いきれない。いわば「理由の後付けによる正当化」の域を出ない。
一方、久保田医師は「人工島では駄目な理由」を列挙しているし、それが十分に周産期医療における「現場の意見」だから説得力がある。
また、このやりとりを聞く限りにおいては、現段階においては、経営のシミュレーション等は行ってはいないようだ。いわば「見切り発車」の状況で市民に説明をしている。なんともずさんだ。8月には移転に関する基本構想が策定されるが、どのようなバラ色の収支予測を折り込んでくるのか見ものである。過大な見積もりは行政の得意技でもある。
先に作ることを決め、後からその経費については当初の見積もりよりも多くかかるという市行政の悪弊を市民はよく知っている。
本来、「道理」に基づいて移転の是非を判断すべき立場のこども病院院長がなぜこの道理がわからないのか不思議でならない。「医は仁術なり」という。患者に対する真心も、医師としての良心もかなぐり捨ててしまったのだろうか。
【日下部晃志】
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