前代未聞の出口なし不況
毎日、毎日「あのデベが潰れた」、「あのゼネコンが焦げ付いて大変だ」と、関係者は疑心暗鬼になり、中小企業の経営者たちは意気消沈している。「今回の不況はとんでもない事態になるようだ」と怖れおののいている現状だ。確かに、日本人の人口が確実に減りだした未体験の時代に突入して、どの市場も激減することに直面している。だから一部にある『運命論的な未曽有の恐慌』説が罷り通るようだが、果たして本質はそうなのか。
バブルが弾けることを予想できずに潰れる企業の経営者が、責任を追及されることは当然のことだ。多田建設(株)のように3回も会社更生法の適用を申請して債権カットを企む輩は、『更生法ゴロ』または『詐欺師』と言われても仕方がない。多田建設はもう破産・消滅をさせたほうが世の為だ。一部にはふざけた倒産劇もある。しかし個別の経営者責任だけを追求しても、問題解決にならない深刻な問題が横たわっていることに直視すべきではないか。直視すべきことはまさしく『官製不況』の現実だ。
役人に日本を救う能力はない
中小企業の経営者の皆様に問いたい。「貴方は会社経営に命を賭けてきたのでしょう。会社は貴方の命そのものでしょう。貴方の家族、社員及び社員の家族を守るために必死で体を張ってきたはずです。貴方の命そのものである会社を役人のさじ加減一つで殺されて良いのですか。命を守るためには中小企業の経営者たちが一致団結し、無能な役人たちに異議申し立てをするべきではないでしょうか」と。
中小企業の経営者たちが、全国津々浦々で「俺達の命(会社)を抹殺さてたまるか」という一言を叫べば事態の打開は可能なはずである。その一弾として『官製不況に打ち克つ』シンポジウムを企画した。日本人、また中小企業の経営者たちは『お上に対して従順である』特性・気質を抱いてきた。お上に守れる能力があれば従うのも庶民の知恵だが、いまや無能力なお上から、油断をすれば我々の命(会社)を潰されかねない。であれば行動パターンをチェンジするしかないのだ。
官製不況の輪廻を解く
振り返っていただきたい。昨年6月21日、建築基準法が改正され施行された。施行されたものの、国土交通省には指導マニアルが作成されていなかったことで現場は混乱した。確認申請はたな晒しにされ、全国の新規工事の着工はストップしたことは記憶に新しい。準備不充分で法律を施行するなんて、役人の怠慢の極みである。一時は「国土交通省は全国の中小企業業者を半減させる企みを持っているのでは」という奇説も流布された。
耐震に強い鉄骨・RCの建築物を造るために建築コストがグーンとアップした。相対で12%上がったところに鋼材の値上げが追い打ちをかけて25%以上のコスト上昇を招いていった。そしてマンションの販売価格に飛び火した。場所にもよるが、サラリーマンの平均層が買い求める90平方メートルのマンション価格が2,500万円していたのだが、3,000万円に近い価格帯に跳ね上がった。給料の昇給見込みのないサラリーマンにとって、500万円の値上がりを目の当たりすれば当然買うことを中断する。業者にはマンションの販売不振という地獄が待ち構えていた。
一握り(4,5名)のチームが練った改正建築基準法だが、彼らの思考パターンは視界不良だ。彼らは「マンションを手にしたい」というサラリーマンの夢を打ち破ったのである。マンションの販売不振が発生すればデベの経営内容は一瞬にして悪化する。デベの資金繰りの状況に危機感を抱いた金融機関は新規融資を中止する。さらには「融資の貸し剥がし」という強硬手段を取る。そうなれば不動産業者の倒産が続出して世の中が騒然となる。
世の中の騒然さはどうであれ、デベが潰れるとゼネコンが焦げ付く。体質の弱い建設会社は、当然連鎖する。ゼネコンには沢山の工事業者・納入業者がいる。この中からまたまた倒産連鎖という悪運を背負うところが続出するのである。役人の無能な政策が廻り回って零細業者を死に追いやる輪廻の構造を、中小企業の経営者の皆さんも理解されたことだと思う。ところがだ。許されない事実がある。中小企業・零細業者を倒産という地獄に追い込んだ極悪人達は平然としている。「今回の建築基準法の改正で少し世間を騒がしてしまったかな」という程度の心理状態だ。
役人から立法権を奪還することが戦略課題
経営者は経営の失敗をすれば自己責任をとって裸にならなければならない。しかし、役人たちは結果的に中小企業の経営者を自殺に追い込んでも、何の仕打ちも受けないのである。日本の政治構造の最大の問題点は役人たちを国民から選ばれるわけでもなく制約された活動(結果責任)も強いられず恣意的に政策造りを許容してきたところにある。長期の自民党政権が官僚たちをのさばらせてきたのである。
我々の選択する道はただ一つ。「中小企業の経営が成り立つ環境整備、法整備をしていただきたい」と大きな声で叫ぶことである。しかし個々で叫んでも犬の遠吠えになってしまう。だから一致団結して「政治構造を変えよう!!」、「役人に超法規的な権力を与えるな」と声をあげよう。日本は一挙に変革できる。黙っていれば今の社会・政治の趨勢から判断して必ず中小企業は抹殺される。
声をあげるにも、闇雲に叫ぶのではなく戦略が必要だ。国会議員一人一人に「我々、中小企業の置かれている厳しい現実を理解してくれ。そして国会議員として本来の立法の府を担いとして議員立法を提出し可決してくれ」と迫ることだ。議員たちは自分の責務を忘れている。特に自民党の国会議員たちは「法律は役人が練り自分達の仕事は承認するだけ」と錯覚しているのでないか。「惚けた役人には任されない。これでは中小企業の皆さんを苦しめることになる。我々自らが法律を策定していこう」と行動始める国会議員たちを一人でも増やすことが出来たらシメタものだ。
データ・マックスは、建設・不動産業界の中小企業の経営環境を少しでも改善するため、8月26日に『官製不況に打ち克つシンポジウム』を開催、ただいま粉骨砕身して準備しております。
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「官製不況に打ち克つ」シンポジウム | |
主催 | (株)データマックス |
協賛 |
(社)福岡県建設業協会 (社)九州住宅建設産業協会 福岡建設協力会 福岡県鉄筋事業協同組合 (社)福岡市舗装協会 福岡県中小企業団体中央会 九州板硝子工事協同組合 福岡地区生コンクリート協同組合 福岡中小建設協同組合 福岡県建設専門工事業団体連合会 日本鳶工業連合会九州ブロック 福岡県瓦商工組合 |
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