市長公用車の不適切な使用実体を追求してきたが、吉田市長が女性2名を公用車に乗せた昨年12月4日夜のホテル日航福岡における目撃証言は、市長側の説明と大きく食い違う。
中牟田健一元岩田屋社長は「(女性2人は)私が市長公用車に乗せた。2人とも着物だった」という。しかし、目撃者のA氏は、吉田市長自身がスーツの女性2人を公用車までエスコートしたとする。ホテル内から公用車まで、吉田市長の左右に女性がいたことも女性のスーツの色合いも、はっきりと記憶していると語る。さらに、公用車の周辺で市長以外の人間といえば、見送りに出てきたコック帽をかぶった人と(ホテル関係者かどうかは不明)、ホテルマンの数人だったという。周辺人物の服装まで詳細な証言である。
また、当日の天候についての中牟田氏と市長の説明は「土砂降りの雨」で一致するものの、A氏は「そんな記憶はない」。福岡管区気象台はA氏の記憶を裏付けるように「晴天。降水量ゼロ」。天候については、明らかに市長と中牟田氏の話が間違いであることがはっきりしている。
目撃証言「車に乗せたのは市長自身」 中牟田氏「私がドアを開けて乗せた」
A氏の証言は、市長を含む3人が、公用車に乗り込む場面に移る。女性2人をホテル内からエスコートしてきた吉田市長は、まず公用車の運転席側後方へと1人の女性を連れていき、ドアを開ける。運転席後方の座席にその女性を乗せ、自身は助手席側後方へ移動、車に乗り込んだという。その後、もう1人の女性を車内に招じ入れたとするが、女性2人は乗車前から遠慮がちに見えたと語る。吉田市長は後部座席の真ん中に座ったことになる。公用車はすぐに走り去ったというが、目撃証言はここまでである。
証言は市長の手の動きまで詳細に及んだが、本稿での再現はここまでにしておきたい。A氏の証言に信憑性があるのは、12月4日夜9時前後という日時を、正確に覚えていたことでも明らかと思われる。話を聞くまで、取材班側から日時を提示していたのではなく、A氏自身から、「12月4日夜9時前後」と特定したのである。
中牟田氏は「公用車に女性を乗せたのは私。私が車のドアを開けた。」としていたが、目撃証言には、市長以外の人間が公用車のドアを空け閉めした場面は一切ない。日時と場所、そして女性2人が市長公用車に同乗した事実だけは全ての関係者の話が一致する。しかし、女性の衣服や誰が乗車までエスコートしたのかでは食い違いを見せる。
一番大きな疑問は、天候のことである。なぜ市長や中牟田氏は「土砂降り」を強調したのだろう。公用車をタクシー代りに利用したことに理由付けが必要だったのか、あるいは別の日に同じようなことがあり、勘違いしたのか・・・?いずれにしろ、市長公用車がタクシー代りに使用されたことは間違いあるまい。
市役所ぐるみで「問題ない」とする姿勢は市民感情から乖離している。