福岡市立こども病院・感染症センターの人工島移転問題で、福岡市は10日夜、市役所講堂で一般市民向けの説明会を開催した。約300人が集まり、人工島移転問題への関心の高さをうかがわせた。市民からは人工島移転についての批判が相次ぎ、大きな怒声が飛び交った。
5日の患者家族説明会と同様、吉田宏市長は出席せず、市保健福祉局や福重淳一郎こども病院院長らからの説明後、質疑応答に入った。
「人工島はアクセスや周辺環境が悪い」「ヘリポートを作っても待機時間が出て、救急医療にならないのではないか」
「新空港が造られれば騒音が懸念される」「市長の公約違反ではないか」「なぜ市長は出てこない。ここに呼びなさい」
会場は市民の疑念と怒りが爆発し、大荒れとなった。予定した質疑時間では足りず延長をしたが、それでもなお、最後まで多くの市民の質問の手が上がり続けた。
最後には阿部亨保健福祉局長が「本日頂いた質問は必ず市長に伝えます」と締めたが、その後阿部局長は報道陣の取材に対し、「市は7月中に人工島移転の方針を正式決定し、8月には基本構想案の策定とパブリックコメントを実施する予定、9月にも議会に提案することもありうる」と述べ、既定の方針通りに移転を進める考えを示した。
「市民の声励みになる」 患者家族
人工島移転に反対している患者家族の1人は「市の説明は同じことの繰り返しだけど、多くの市民が人工島移転に反対していることがあらためてわかり、ありがたかった。励みになります」と話していた。
17日には、市長出席のもと、再度患者家族を対象にした二度目の説明会が開催される。果たして、市民の疑念を払しょくし、不満の声を汲み上げるまでに至るかどうか。注目される。