業務委託報告書から新事実判明
かつてNet-IB市政ニュースでは、吉田宏福岡市長が誇らしげに話した、人工島(アイランドシティ)にこども病院が移転した場合に設置予定のヘリポートについて、空中待機の可能性が高い事から「機上の空論」と揶揄して、移転の決め手にはなりえないと断じた。
この記事に先立ち、地元テレビ局はヘリからの空撮で空中待機となった現実を放映、これ以後、市はヘリポートのことに触れなくなっていた。
今回、データマックス取材班が福岡市に対する情報公開請求で入手した文書によると、人工島にヘリポートを作る場合、条件は他の市内の移転候補地とは違い、より困難をともなうといった趣旨の報告がなされていたことが明らかとなった。
問題の文書は、福岡市病院事業アドバイザー業務報告書の中の「福岡市立病院ヘリポート設置検討調査業務 報告書」。市保健福祉局が特命随意契約で委託した。
同報告書を作成したのは、愛知県に本社を置き、ヘリ、セスナなどを主力に航空事業を行なう企業で、福岡市にも営業所を有している。ヘリポート建設のコンサルタント業務も行なっており、実際に航空事業を行なっているだけに、業務内容の確かさには定評があるとされる。
同報告書では、それぞれの移転候補地(六本松・九大跡地、九大・田島寮跡地、当仁中学校跡地、香椎副都心、人工島)について検討がなされているが、すべての候補地を福岡空港管制圏内としたうえで、香椎副都心と人工島については、「特別管制区」と明記。
特別管制区内にヘリポートを設置した場合、「着陸時の待機時間が発生する可能性が他の候補地より高い」と断定している。
さらに、両候補地については、「より綿密にヘリポート使用条件について空港事務所と調整し、対応方法を検討しておくことが必要」としている。市消防局との連絡体制、救急搬送と転院搬送の実施条件などについての調整についても「特別管制区」であることからその必要性に言及している。
人工島におけるヘリポート設置は、他の候補地より問題が多いことを実証する報告書の存在は、改めて議論の対象となりそうだ。
なお、29日、データマックス取材班の確認取材に対し、大阪航空局空港部管理課も、人工島にヘリポートを設置した場合、「特管区(特別管制区)に入ります」と認めている。