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コダマの核心

丸美 瓦解の必然(2) 命取りの決定打はホテル会員権の取り付け騒ぎ
コダマの核心
2008年8月 1日 09:45

何故、7月31日でなかったのか

 弊社としても『30日、31日に丸美が法的処理を申請する』という前提で臨戦体制を敷いた。裁判所、同社の本社にも取材班を配置した。会社には経営陣の姿はなかったが会社の業務機能には支障は発生していなかった。ただ31日においては取引業者らしきの人たちの往来が激しかった。30日、31日と会長・社長は自宅には帰っていない。こうなれば「31日がタイムリミット」と判断したのだが、動きはなかった。

 31日期日の手形は倒産した真柄建設に回っていた。一時は「残高がない」ということで「法的整理をせずしてお粗末な不渡りになるのか」とも危惧した。結果的には31日の不渡りはジャンプで回避できた。確かに「不渡り説」には当初から疑問を抱いていた。「真柄建設の管材人とは話し合いがついている。9月までにマンションを販売して、返済していくことが了解してあるし、相手は充分な物件の担保は取っているから絶対、取りはぐれはない。9月末までは真柄への手形の不渡りはない」取材を通じて確信をしていたからだ。予想したとおりに真柄建設側はジャンプに応じた(一部返済はされ手形の額面は減額されている)。31日の手形は真柄建設分しかなかったのだ。

取り付け騒ぎで法的処理の申請を決断した

 世間が騒ぐほどには丸美自身の資金繰りは倒産寸前の末期ではなかった。商品・資産売却で窮地を打開するという戦略の前途は厳しいが、眞暗闇ではなかったのだ。ところが最悪の想定してきた大波が押し寄せてきた。宮崎社長との最後の電話は29日の朝だった。「児玉さんの予想が的中した。家主さんとのトラブルは解決できる自信はあった。しかし、取り付け騒ぎが起きてしまった。これではとてもじゃないが持ち堪えられない。時間が欲しい。法的処理をしてとりあえずの保全をしないと交渉ができない」と狼狽の声だった。

 また詳しくはこのシリーズで指摘するが弊社が掴んだホテル利用会員権の金額は44億円ある。金丸オーナーはどうしても霧島・菊南(熊本)、湯布院の3か所のホテルを併営したかった。そこで資金調達の為に考案したのが会員権販売であった。この計画案を耳にした時に金丸、宮崎両氏に警告を発した。「この会員権で丸美は命取りになる」と断言をした。そのとき金丸氏は形相を変えたが・・・。

 最悪シナリオの襲来は今年の4月あたりからだが、本格化したのは真柄建設の倒産前後からだ。20日過ぎから解約・返金が相次いだ。丸美側経営陣が想定していたキャンセル対応資金3億円は準備していた(「3億円を超える事態になったら処置なし」という証言を以前の取材で得ていた)。だからこそ3億円をはるか超える会員権のキャッシュ化の取り付け騒ぎには同社の経営陣も戦意消失したのである。「さー、大変になった法的整理の段取りを取ろう」と法曹顧問団と準備の打ち合わせに入った。当初から申請時期を7月31日でなく8月の第1週に設定していたのだ。

つづく



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