福岡市はこども病院人工島移転を公式表明したが、実際に決定するのは9月議会である。移転のためには、「税金で」博多港開発が所有する土地を購入する必要があり、議会の承認を得なければならない。ところで、データマックス取材班が入手した複数の業務委託報告書(発注・福岡市)は、隠されてきた「検証・検討」の実態を解き明かす、有力な資料だった。
その中でも、総務省との起債協議の資料として作成された「総務省協議の事前準備の支援」には、取得用地4ヘクタールの根拠となる試算など、さまざまな項目が並ぶ。
その14ページには、なぜか人工島だけを想定した「初期投資」の費用が算出されていた。
用地取得費の項目には41億3,400万円と記されており、人工島病院用地の基準価格133,900円(1m2単価)で、30,000m2を取得した時のおおまかなの金額と符合している。明らかに人工島を想定しているのだが、試算表はこのひとつだけで、他の移転候補地を推定したものはない。まさに「はじめに人工島ありき」の証左でもある。
人工島にこども病院を移転した場合、初期投資はなんと19,164,909,264円。200億近い数字になる。
すでにインチキだったことが明らかとなっている市の「検証・検討」報告書には、移転候補地ごとの「コスト比較」が掲載されているが、人工島の場合、87.7億円と記されている。もともと、85.5億とする建設費自体が「ゼネコンに聞いて」作ったという何の根拠もない数字だったわけだが、そのでっち上げ数字より、さらに110億円以上の投入が見込まれるということらしい。
高速延伸に300億円から400億円
市は、交通アクセスの問題を解決するため、高速道路を延伸すると言っていたが、「検証・検討」ではこの費用に300億円かかるとしている。いつできるか分からない話ではあるが、この300億という数字も、関係者からは「実際は400億円かかる」という話が聞こえてきた。こども病院のためだけに500億円ないし600億円以上の金をかけることになる。本当にこんなことが許されていいのか、再考の必要があるだろう。
こども病院の位置づけという重要な論点も含めて、巨額の公金投入が妥当なものかどうか、今一度、市民一人ひとりの問題として考えるべきだろう。9月議会で安易な妥協がなされないためにも、「間に合う」うちの議論の盛り上がりに期待したい。
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