一枝保育所保護者会・一枝保育所を守る会は、4月15日に陳情書が不採択になった後、4月30日に北橋市長・保健病院委員・北九州市福祉事業団・子ども家庭局保育課宛にそれぞれ3項目の公開質問状を出している。
更に6月3日に改めて子ども家庭局保育課及び北九州福祉事業団宛に10項目の公開質問状を送っている。
一枝保育所の保護者や地域住民の声がその中に凝縮されているので、少し長くなるが、10項目の公開質問状をそのまま紹介したい。
「一枝保育所移転問題に関する再度の公開質問状」
私たち一枝保育所保護者会や一枝の住民が何故移転に反対をしているのか、再度、以下の問題点を提起し具体的な誠実ある回答を求めます。
一、共働きの家庭では、仕事上の時間的な制約からどうしても子供の送迎には、お爺ちゃんやお婆ちゃんの手を借りなくてはなりません。その祖父母が歩いて送迎するのには、仙水町ではあまりにも距離が遠く、一枝の金毘羅地域から4キロ以上歩くことになり、しかも仙水町に入る交差点や歩道は、送迎時には車の渋滞や自転車の往来がひどく、とても年配者の足では送迎できる距離と環境ではありません。
保育所に通うことすら困難な家庭が増えても、それでも仙水町が保護者のために良い環境だと言うのですか。
二、車での送迎にしても同じことです。移転先へのアクセスは一方通行であり、そこからバス通りに出るところには信号も無く、毎朝バス通りに出る車で渋滞し、右折車などがいれば、更に渋滞することになり、勤務地の時間内に無事にたどり着けるのかどうかさえわかりません。
車の送迎自体が困難であっても、それでも仙水町が保護者のために良い環境だと言うのですか。
三、移転する仙水町の場所は、行くまでの交差点附近の車や自転車のラッシュとはうらはらに、人通りや人家や照明も少なく、変質者も多く、子供の一人歩きの禁止区域になっています。夜遅く子供を迎えに行く親たちにとって子供の安全確保は大きな問題です。
それでも仙水町が保護者のために良い環境だと言うのですか。
一枝小学校区では、地域の方や保護者の方が毎日通学路に立ち安全に通学できるよう見守っています。このように地域ぐるみで安全対策が取られている良い環境を壊してもいいのでしょうか?
四、8年前の民営化提案の時は、現地建替えであったのに何故、今回は仙水町なのか、三六保育所が同じ条件にもかかわらず、現地建替えが出来るのに何故一枝保育所だけは無理なのでしょうか、お答え頂きたい。
五、保育課は、一枝校区との繋がりは継続し、移転先から夜宮公園はすぐ近くにあるといいますが、小さな子ども達のバス通りを渡っての散歩は命がけです。何故わざわざそのような場所へ移転するのでしょうか?また、大変危険なバス通りを渡っての交流が長続きするでしょうか?
六、保育課は校区外から通所している園児もいると言いますが、それぞれの方に理由を尋ねると、皆さん揃って「一枝保育所の環境(現在の夜宮公園に隣接している場所)が良いから」と答えが返って来ます。最近校区内に引越しをされて来た方々は、近くに保育所があり、小学校があり、夜宮公園と言う大自然の中で子育てが出来るということで、一枝に越して来られています保育課は、そのような意見を聞く調査はしたのですか?
七、一枝幼稚園が経営環境の悪化で廃園になろうとしています。一枝の地域から、子供が増えつづけているこの校区から、幼児教育が全て無くなろうとしています。地域教育のあり方、保育所の適正配置のあり方から言っても、一番保育所を必要とし、むしろ保育所を増やしてほしいと願っている地域から全て無くそうとしているのは何故ですか、地域教育とは、保育所がそこの地域にあって成り立つもので、校区外に移転しては地域教育が成り立たなくなってしまいます。
地域教育のあり方について保育課の見解をお聞かせ下さい。
八、一枝地区の住民が一体となって署名活動を行い、自治会長が病院保健委員会で移転反対の声をあげているのにもかかわらず、地元住民に対する説明会を行わないのはなぜですか。一枝地区から保育所が無くなることは、保護者会だけの問題ではなく、地域の問題であることを行政として真剣に受けとめていますか。多くの地元住民の声をこのまま無視して推し進めるつもりですか。
九、この様に大きな問題点が有るにもかかわらず、予算が安く出来るからといって建物さえ新しく建替えれば、保護者や住民がどんなに困っても、不自由になろうが、保育所に行くことすら断念する人が増えようが、先に仙水町ありきで強行に推し進めようとするのは何故ですか、お答え頂きたい。
十、保育課と事業団は、施設権をたてに保護者会活動の連絡用に使用していたウオ-ルポケットや署名の回収ボックス等、使用禁止といった、保護者会を制約する違法行為を行っています。そもそも施設権なるものは施設の保安に関するものです。正規の手続きとル-ルを守って活動している以上、自分たちの意に反するからといって制約を受けるものではありません。親が子供の権利を守り主張し、それについての活動を制約すること自体、あなたたち保護者の意見は一切聞きませんという態度そのものではありませんか。
最後に、陳情番号23号の「市立一枝保育所の民間移譲等の反対について」第3項の「保護者と対話をつくすこと」が平成20年3月23日に継続審議となっているにもかかわらず、一方的な説明会だけで対話の機会を全く持たない保育課の対応は、市民の意見を無視しているとしか言えません。5月26日までに7,000筆以上、賛同団体が7団体という保育所の問題としては異例の膨大な署名をいただくことが出来ました。多くの署名を頂くことが出来たということは、いかに一枝保育所が地域に密着した保育所であるかと言うことの現れであると思います。またこの署名は、一枝校区全自治会・子ども劇場・市民劇場・一枝学童・年金者組合・健和会労組・市職労保育部会・新婦人の会・一枝の各マンション管理組合・その他、多くの団体が賛同し協力を頂いたものです。
保育課は速やかに、これら全ての団体及びマスコミ関係者を含めた住民説明会を、参加しやすい19時以降一枝市民センターに於いて実施されたい。また、この公開質問状に対し一枝保育所保護者会並びに一枝保育所を守る会へ文書での回答をすること。
今後保護者会は、保護者や一枝住民から出された上記項目全ての移転に関する問題点や要望に対して、保育課が誠意ある具体的回答を行い、一枝自治会役員の門前払いをした謝罪を行うことが無い限り、今後の説明会には応じられません。
また、この前提が解消されない中での一方的な保護者説明会の開催は断じてしないこと。
以上
以上が、6月3日の保育課宛の公開質問状だ。
読者の皆さん、この質問状に込められた一枝地区住民の想いと、危機感を読み取っていただけたであろうか。
つづく
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