「これまで地域のために、働く女性のために作り上げられてきた一枝保育所の歴史を否定するような、行政の身勝手な移転案には反対です」
——「乳児保育所」設立までにどのような活動を続けられたのでしょうか。
新地/
組合婦人部では、「産休明けから安心して預けられる保育所を作って下さい」と運動していました。
実態調査に基づく市との交渉が実って、ようやく北九州市としても乳児保育所の必要性を認め、戸畑市で作ろうとした時よりも予算は減って600万円になりましたが、建設へ進むことになったのです。
一枝保育所は、旧松本邸・現在の西日本工業倶楽部のすぐ目の前にある
——施設面や運営でどのような特徴がありましたか。
新地/
初めての赤ちゃん保育所ですので、女性の立場で意見を求められ、図面を見せてもらい、会としていろいろな提案をさせていただきました。
先に戸畑市と婦人の代表が東京三鷹市の乳児保育所を訪問して学んだことを参考にした面もあると思います。赤ちゃんのためのオシリ洗浄槽や、それまでいなかった専任の保健婦さんが保育所で赤ちゃんの健康管理を行なうことになったのです。
こうした全国でも先進の取組みに、北九州市としても「九州ではじめての乳児保育所を建設した!」と誇らしげに宣伝したのです。そして高松宮妃も見学にいらっしゃったこともあります。
それから何年か経ち、地元からの要請もあったのか、大きな子どもも受け入れることになり、乳児保育所から一枝保育所と名前も変わったようです。
一枝保育所の地域といっしょになった取組みは保育水準の高さが、北九州の中でも先進的で、これまでずっと保母さんたちにとって目標になった保育所だったようです。
——今回の一枝保育所移転問題についてどのようなご意見でしょうか。
新地/
北橋市長の「市民のための市政」という公約にも反するのではないかと思います。3年前の民間委譲の際にも地域住民や保母さんたちと反対署名活動を行なってきましたが、保育の実情を一番よく知っている保母さんたちが、民営化で本当の意見を言いにくくなったのが残念です。
私も市職員のOBですが、今は財政再建で「お金、お金、お金」と市の職員も政策面で追い詰められているようですが、本当に地域にとって、子育てにとって、それでいいのか疑問に感じています。
「一枝地区から、保育所をなくさないで!」という住民の声を聞いて下さいと改めて行政の皆さんに言いたいです。
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