渡邉雄太氏の駐在期間中は、ラジオ番組「ボイス・オブ・ハート」放送後の調査や、エイズ患者の実態調査、農業支援として少雨でも育つ粘土団子の実験など、さまざまな活動を実施した。その間も、カンボジア地雷撤去キャンペーン(以下CMC)ボップイ小学校の運営は悪戦苦闘しながらも続けられていた。
最初の授業は「地雷回避教育」
勉強したいと強く願う子どもはたくさんいる。CMCはバッタンバンの教育省と協力し、「子どもたちが満足に勉強できる環境づくり」に全力を尽くしている。3カ月間の雨季休みを終えて、2005年10月10日、学校は2年目に突入した。学校に活気が戻った。勉強する子ども、校庭で元気に遊ぶ子どもの姿を見るのは実に嬉しいものだ。しかし、学校を一歩出れば、地雷が眠っているかもしれないという現実がある。地雷に関する教育の必要性を改めて感じた。もう絶対に被害者を出さないこと、それが何よりも重要だ。
新学期最初の授業は、日本では考えられないことに「地雷回避教育」である。1、2年生合同で行なわれ、新1年生は少し緊張した面持ちで授業を受けていた。テキストは、カンボジア政府の地雷除去組「CMAC」より配布されたもの。教室の壁には日本の子どもから贈られた絵とともに、地雷一覧表が張られている。子どもたちの周りには、未だ多くの地雷が埋まっているのだ。
つづく
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