ウェブ上で就業規則の書式を無料提供する「就業規則オンライン工房」など、人事労務や社会保険に関わる情報を幅広く発信し、顧客満足を追及したサービスを展開している社労士法人パートナーズ代表・篠塚裕二氏。労使相互間の信頼を構築するための人事労務マネジメントに迫る。
【COMPANY INFORMATION】
代 表:篠塚 祐二
所在地:福岡市博多区青木1-10-47
設 立:2005年3月
出資金:290万円
URL:www.sinojimu.com
仲間の「破綻」を見て社労士の道へ
創業して11年、法人改組して3年の社会保険労務士法人パートナーズ。代表の篠塚祐二氏は、以前は一般企業に勤め、東京で5年、福岡で8年と計13年間にわたり人事職に従事してきた。「当時の社長はワンマンで、すべてがトップダウン。私は一貫して人事部門で働いておりましたが、長時間労働やサービス残業などは当たり前。過労ですよ。まさに人の"破綻"を幾度となく見てきました。そうした風土のなか、経営者と従業員との間でどうすれば良いのか悩み抜き、労務管理の大切さを痛感しました。このままではいけない、何とかしなければならないという想いが強くなり、41歳で会社を退職、社労士の道へと進んだのです。こうした状態の会社を1社でも多く救いたかった」と語る。
退職後、9カ月で社労士の資格を取得し、社会保険労務士の事務所には勤めず、すぐに個人創業した。社労士は、試験にパスしても実務経験が無いと登録できない資格だが、篠塚氏には実務経験があったためスムーズに創業できた。
当初は、給与計算、社会保険、労働保険の申請代理といったベーシックな業務で顧客を開拓した。「ダイレクトメールを500社くらい送ったと記憶しています。それなりにレスポンスがあり、契約をいただいていました。当時、中小企業で社労士と契約していた会社は全体の35%程度でしたので、そのような背景もあって、仕事をいただいていました。創業当初ですから、生活のためにやりましたよ」。
そのなかで、徐々に経営者の信頼を得ていき、就業規則や賃金規定など、人事に関するマネジメント業務に領域を拡げていったが、どうしても経営者側寄りの就業規則や賃金規定を策定してしまっていたという。「誰のための規則や規定であるかは、当然のことながら従業員のためのものです。しかし、生活のためとはいえ、経営者側に有利な文言が並んでしまう。やはり契約を切られたくないという思いから、本当は総合的なマネジメントとして提案できるのに、していなかったという現実がありました。従業員の救済活動も行なってはいたのですが、なかなか思うようにはいきませんでした」。
つづく
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