税金で購入の土地は最高額で購入!?
人工島「検証・検討」、業務委託が示す茶番
平成19年に福岡市総務企画局が人工島事業「検証・検討」のため業務委託した「福岡市立病院経営分析」については詳しくその内容を報じてきた。特に成果物として提出された同報告書の最後には、こども病院の現地建替えシミュレーションが行なわれており、最初から現地建替えを否定する目的で同シミュレーションを作成することが明記されていた。
現地建替え費用として算出された85億5000万円の数字は、後の「検証・検討報告」では128億3000万円に水増しされていたことも明らかにした。「インチキ見直し」の行き着く先は500億円とも600億円ともされる巨大公共事業である。(200億円が病院移転費用、300~400億円が高速延伸工事費)
博多港開発の土地を事業計画通り税金で購入するため、なりふり構わぬ手法で市民を騙す吉田市政に対し、批判の声が日増しに高まる。
こども病院移転用地、1㎡/133,900円はなぜ検証されない
ところで「検証・検討」チームが業務委託したものがもうひとつあった。人工島の土地処分計画について検証させた「調査報告書」である。同報告書では、住宅系、産業系、流通業務用地等について価格や土地処分計画について検証を行なっている。
しかし、こども病院移転用地については産業系の用地全体の検証しかなされておらず、税金で「市立病院用地」として購入した場合、適正な価格であるかどうかの疑問は提示されてもいない。もちろん山崎前市政時代から「市立病院移転予定地」とされていたのであるから、「産業用」としておおざっぱに検証されるべき土地ではなかったはずである。
この点を市の担当課に聞くが「マクロでやったもの。そこまで細かく検証する時間はなかった」という回答が返ってきた。
「検証・検討」関係者は、現地建替えの水増しも、新築移転の適当な工事費算出も「時間がなかった」との言い訳を口にしてきた。いかに「検証・検討」がいい加減なものであったかよく分かる言葉である。
病院予定用地の基準価格は1㎡当たり133,900円、購入用地が30,000㎡だと42億円(税込み)、噂される38,000㎡の場合は53億前後の税金投入となる。ただしこれはあくまでも「基準値」通りの価格で購入したらの話。博多港開発が融資を受けている金融機関との契約書では、報じてきたように「基準値の80%」でも良いことになる。
血税で購入する以上、シンジケートローンのエージェント・福岡銀行には出来るかぎり安くしてもらうように交渉すべきであろう。幸い、博多港開発と銀行団の40億円もの新規融資の契約書は、弊社の指摘で、抜け落ちていた「基準地の80%」の文言が加わることになった。せっかく復活した条文なら、ぜひ「80%」を活用して血税投入を最小限に抑えてほしい。契約書の「間違い」に気づかないほど「たるんでいた」福岡市には、それくらい努力する義務があるだろう。もちろん、金利・スプレッド・エージェントフィーをもらっている福岡銀行も、契約書の間違いの責任を痛感し、値引き交渉に注文を付けることなどすべきではあるまい。
【特別取材班】
「3万平方メートルは最低限。さらに増える」
市長定例会見 こども病院「開院は25年度」
福岡市の吉田宏市長は19日の定例会見で、市立こども病院の人工島移転について見解を述べた。
開院時期については「平成25年度くらい」、市議会への提案を前にまとめるとしている新病院基本構想については「アウトラインは月内から来月ごろに出す」、人工島で取得する土地の広さについては「3万平方メートルは最低限必要。いろんな機能を充実させようと思えばさらに増える」などと話した。
基本構想については、西日本新聞が18日付夕刊などで「市立2病院に関する新病院基本構想案の概要が明らかになった」と報じているが、これについて市長は「基本構想は固まっていない。開院時期も決定したということではない。いろんなことが合わさって構想ができ、必要な広さが決まる。構想は、最終的にどうするかを詰めている途中。まだ決まっていない」とした。
また、人工島移転に反対している患者家族に対しては「構想について説明はするが、場所の問題を続けることは難しい。市としては構想が決まれば説明会をするが、急がねばならないのでスピーディに取り組んでいく。(人工島移転に)ご理解いただくしかない」と話した。
このほか会見では、幼児3人が犠牲となった飲酒運転の事故から8月25日で2年になることから、引き続き飲酒運転撲滅の取り組みを強化することや課長全員を対象に研修会を行うことなどを説明した。
【豊田伸】
不動産デベロッパーや建設業の破綻が続いている。福岡市の吉田宏市長は19日の定例記者会見で、この問題についての認識や市としての対応を問われ、「急な変化に耐え切れなくなった企業の倒産」「福岡は悪い材料ばかりではない」などと語った。発言の要旨は次の通り。
―不動産デベロッパーの破綻が続いている。市長の現状認識は
福岡の不動産は好況だった。地価もゆるやかに上昇していた。昨年からサブプライムローンや資材の高騰で建築不動産業界を直撃している。それは福岡でも言える。いまは公共工事中心の時代とは違う。急な変化に耐えきれなくなった企業が倒産している。
―市として何らかの対応はないか
市としては資材の値上がり分の補助をわずかだがやった。油の高騰については、建設業を直撃しているというだけで特別な施策は打ちにくい。政府が対策をやってきており、来年度予算で出そうとしている。そうしたことと連動してやれることがあればやりたい。
九州新幹線が開通する2011年は変化の節目。民間の需要は予想よりも大きい。ビルの容積率緩和などの効果も数年のうちには出てくると思う。ビルの建て替え時期が全体的に近づいており、福岡は悪い材料ばかりではない。
◇
デベや建設業の破綻が続いているのは、法改正の不備や銀行の貸し渋りなどが大きい。市長は甘い現状認識と楽観的な見通しを述べていたが、きちんと現実を直視し、企業経営者の痛みを知るべきではないか。そう感じる。
【豊田伸】
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