福岡市の第三セクター・博多港開発(株)と、地場金融機関(エージェント・福岡銀行)との間で結ばれた新規融資分に関する契約書で、データ・マックス取材班は先月、その条文に間違いがあることを指摘していたが、この問題で、担当部局である市港湾局は「間違いだった」として契約書を訂正したことを明らかにした。
訂正された契約書は、今年4月30日付で締結された「限度貸付契約」。条文では、博多港開発が人工島の土地を販売するにあたっての販売実績加重平均が事業計画の「基準価格を下回らないこと」と記されているが、「基準価格の80%を下回らないこと」としなければ、それまでの経緯との整合性がなくなることを報じていた。
データ・マックス取材班は情報公開請求でこの文書を入手、内容を精査したところ、不審な箇所があったため市港湾局や博多港開発に取材した。すると、両者とも慌てて「それは間違いでした」と事実関係を認め、訂正作業を続けていたという。
この間違いについて市港湾局は、「博多港開発も銀行も、契約前に気が付いていた」というが、間違いは訂正されずに契約書は締結されていた。「単なるケアレスミス」と市、博多港開発とも弁解する。貸付人である(株)福岡銀行、(株)西日本シティ銀行、福岡ひびき信用金庫、(株)広島銀行の4社とも「間違い」について了解していたという。
しかし、情報公開請求がなされなければ、実際に契約が3カ月以上動いており、そのまま放置されていた可能性もある。「意図的ではないか」「間違えるはずがない」といぶかる声もあった。
契約締結から約3カ月が経過、ようやく契約書そのものは訂正されたわけではあるが、この件に関する責任は「発生しない」という。巨額の血税を投入してきた人工島事業。「博多港開発はたるんでいるのではないか」と厳しく追及したが、市港湾局も「たるんでいると言われればその通りです」と答えるしかなかった。シンジケートローンのエージェントである福岡銀行も「知らなかった」では済まない。金利やスプレッドとは別に、エージェントフィーまで受け取っているのであるから…。
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