「2日前からA社の社長が行方不明だ。次に決済が危ない」と電話がかかってきた。このA社というのはれっきとした上場企業である。「本当かな」と半信半疑でA社の財務担当取締役に確認の電話をした。「社長が蒸発したというタレこみがあったが」と問うた。取締役は「馬鹿な!! 隣の部屋にいるぞ」と絶句した。この財務担当取締役は、時を置いて冷静になってから、しみじみと語る。「最近、私は胸を張って歩くようにしている。そうしないと世間から『財務担当者の顔が暗かった。彼の会社は大丈夫だろうか』と思われる恐れがある。また、できる限り事務所に座って連絡が取れるようにしているし、商工会議所など会議にも欠かさず出席するようにしている」。この世はまさしく上場企業も零細企業も関係なく、風評で潰される時代だ。
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