日本を代表する商社IのOB会に出た59歳の経営者A氏は、I社を38歳で辞めて会社を起こした。大先輩から命令を受けて初めて九州地区のOB会に出席をして驚いた。70歳以上の老齢先輩たちの元気なこと、元気なこと。ところが68歳以下のメンバーの数が少ないことが気になった。70代の老齢先輩達も「入会を勧めるのだが、大半が断ってくる」と顔を顰める。62歳のOBに現状を報告したところ「会社を退職してまで人間関係を保ちたくない」と、その顔はすごい剣幕になった。
A氏が解説する。「70代の先輩達は定年まで年収が上がり、交際費も好きなだけ使って放蕩して来た。商社サラリーマン天国を経験したから昔が懐かしい。良い意味での終身雇用制に守られて愛社精神に富んでいる。しかし15年前からは商社も冬の陣に突入して、人件費を大幅にカットするようになった。事業を売却したり実質定年を50歳で強要されたりして、68歳以下の方々は恨み辛みの感情を抱いている。だから煩わしいOB会には所属したくないのだ。最先端の企業だからこそ、15年前から日本の長閑な終身雇用制を放棄した。その結果、OB達は古巣に愛着がなくなったのさ」と。
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