福岡市が起債協議のため、総務省に提出した一連の文書が開示された。昨日から報じているその内容は、「はじめの人工島ありき」を証明するものでしかない。
今年3月27日に同省に出されていた「福岡市新市立病院について」と題する文書は1ページ目から新病院の整備場所を福岡市東区照葉5丁目と記している。この住所はまさに人工島移転予定地のものである。敷地面積35,000m2の記述と合わせて見れば、たびたび報じてきた吉田市政の動き(人工島への移転・用地面積拡大)と符合する。
同文書の2ページ目をご紹介したい。(参照)
「新病院の概要」として、建設予定地は「福岡市東区香椎照葉5丁目」、敷地面積は「約35,000m2」とされる。(検討中)の文字がむなしく見える。現実はこの通りに進んでいるのである。
面積についていえば、これ以上の用地面積を税金で購入する可能性も高い。添付された「今後のスケジュール」には、土地の購入手続きについての時期も明示されている。(参照)
移転場所の正式表明は今年7月である。それまでには「患者家族向け説明会(2回)」や「市民向け説明会」が開かれ、市民と吉田市政の溝は深まりこそすれ、埋まる気配さえ見出せなかった。人工島事業の見直し、こども病院人工島移転を白紙に戻しての見直しを選挙公約にしていた吉田宏氏は、市民説明会の日にわざわざ東京出張を入れ、市民への説明責任を放棄していた。「逃げ出した」と言ったほうが正確であろう。
「見直し」ではなく「検証・検討」と銘打ったこと自体、インチキの始まりだったのだろう。市民は見事に騙されてしまった。検証・検討のための報告書や基礎的資料は「市立病院統合移転」を進めるため契約していた東京のアドバイザー業者に業務委託して作成されたものだった。こども病院現地建て替えを否定するためのシミュレーションまでやってもらう念の入れようである。
さらに工事費水増し、30,000m2とされてきた用地面積の拡大など、業務委託報告書はどれも市側の方針に沿うものばかりが提出されていた。
インチキ、だまし、欺瞞、茶番、どれほど言葉を捜してもこのたちの悪い吉田市政の在り様を表現しきれない。これほど市民を欺くひどい市政が、今日までなかったからである。
公約違反という言葉では当てはまらない裏切りようである。
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