本業を脅かしていたのはネット書籍通販だけでない。
時代が書籍を、“買って読む慣習”から、“立ち読み慣習”へ人々をシフトさせてしまった事も大きく影響している。実際、書店に足を運ぶ人の数が激減している訳ではなく、今回、民事再生を申請した同社も「雑誌の売れ行きが落ち込んだ」ことを民事再生の要因の一つとしていた。
以前は書店に行って立ち読みでもしようものなら店主から煙たがれたものだが、近年は店舗内に椅子を設置するところも多く、立ち読みを容認する動きへと変化している。文庫本、CDといった商品は売れ行きが伸びやすいものではないが、週刊誌を中心とした雑誌は、昔から購入する頻度が高く、多くの書店を支える商品だったが、FACTAのデータによれば、近年は総合週刊誌が特に落ち込んでおり、その中でも、かつて若い男性がこぞって購読していた週刊プレイボーイは特に落ち込みを見せている。2001年7月~12月の下半期の同誌の販売部数は41万8,087冊だったのに対し、5年後の2006年7月~12月の販売部数は25万1,215冊と5年間の増減率が60.1%となっているとしている。また、週刊漫画本も売れ行きを落とし、中にはここ10年間で100万部近く部数を落とした出版社もあるとしている。
また、インターネットの普及やテレビ、フリーペーパーなどにより、情報をタダで手に入れやすくなった。立ち読みを容認する風潮、消費者が情報はタダで手に入れるという感覚とがあいまって、同社を民事再生に追いやるキッカケを作ったといっても過言ではない。
つづく
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