ペシャワール会は28日夕、福岡市中央区大名の事務局で記者会見を開き、アフガニスタン東部ジュララバードから入った現地情報や今後の方針について説明した。
福元満治事務局長の説明によると、タイにいた現地代表の中村哲氏がアフガンのジャララバードに到着。亡くなった伊藤さんの検視や葬儀が行なわれた。伊藤さんの足に銃撃の跡が集中的にあったほか、顔面が腫れていた。「石で殴られたのではなく、転んだのか、逃げようとして崖から落ちたのかだろう」と医師でもある中村氏はみている。犯人については、「山に慣れている部族で、タリバンではないだろう」とした。
葬儀はジャララバードであり、現地スタッフや地元の有力者、村の長老など約500人が参列。アフガン人の出席者は「非常に申し訳ないことをした。恩を仇で返すようなことになり、アフガン人として恥ずべきこと」などと話し、今回の事件について怒っていたという。
邦人撤退も現地人で事業継続
アフガンの日本人スタッフは近日中に帰国させるが、現地人スタッフの態勢を整え、農業用水路工事などの事業は継続する。今後の活動については「いまのアフガンは治安だけでなく住民のモラルが低下している。以前は荒っぽくても秩序はあった。長い戦乱や干ばつで人心が混乱している。いまの治安が続く限り無理だろう」と述べた。しかし、農業用水路の工事は日本人から現地人に技術を継承し、権限を移譲したりする必要がある。このため、長くて数週間から1カ月は滞在する。
福元事務局長は「一時的には撤退するかもしれないが、アフガンでの仕事はやり遂げなければならない。それが伊藤君の意思であり、伊藤君の死を無駄にしないこと。治安が回復すれば(日本人による)活動を再開したい」と話していた。
ただ、全員を帰国させた後、「中村氏は1人アフガンに残るつもりでいる」という。