真柄建設が破綻した7月5日、真柄建設に電話取材した結果を報告しよう。
NET-IB取材班が「8月には40億円の増資金が入ってくるのに、愛松建設への焦げ付きが5億35百万円位で何故会社を潰したのか」と問うたところ、真柄建設幹部は「福岡にも債権があり、その債権を(主力取引)銀行が、不良債権に認定したため、愛松建設と合わせて不良債権が20億円近くにのぼり、40億円の割当増資どころか、運転資金の融資さえも受けられなかった」と主力2行の協力が得られなかったことを表明した。当然、福岡の不良債権認定された会社は丸美である。
原因は、丸美が発注した「博多の杜167戸」の分譲マンションの建築代金がまだ丸美側から完納されておらず、丸美は工事代残高の10数億円を7月と9月期日の手形で真柄に支払っている。ところが9月の手形は丸美側が1回ジャンプしており、当然真柄の主力行の知るところとなっていた。そのため愛松建設破綻での不良債権発生に加え、主力行が真柄の丸美への債権も不良債権認定し、40億円の増資引き受けどころか、破綻に追い込んだのである。粉飾決算で生き長らえてきた真柄建設も粉飾がバレ、いつ破綻してもおかしくない状態の真柄建設に最後の鉄槌を丸美が食らわしたことになった。
しかし、丸美は真柄建設に対し、債務額相応以上に担保提供しており、主力行である特に北陸銀行(北國は現役の専務を真柄の社長に就任させている)が、その担保力も認めず、丸美の手形を不良債権扱いにしたものであろう。予定されていた割当増資40億円のうち20億円を北陸銀行が引き受けることになっていたが、引き受ける前に破綻させたのはトータルの債権額を膨らませたくない北陸銀行の思惑が滲み出ているといえよう。
地域No.1銀行は北陸銀行、2番手が北國銀行であるが、真柄のメイン行は北陸銀行の融資額より少しだけ多い北國銀行であった。そのため6月28日就任した新社長は、それまで北國銀行専務取締役であったのである。
真柄建設(株)
7月5日民事再生申請
負債総額:約348億円
東証・大証1部(破綻前)
北陸地区トップクラスのゼネコン・全国展開
創業:1907年(明治40年)3月
年商:(08/3)約844億98百万円
愛松建設(株)
6月30日民事再生申請
負債総額:約150億円
愛知県稲沢市のマンション・住宅デベロッパー