福岡県が主体となって巨大コンベンションセンターを建設するという話が浮上、早くも政界の注目が集まっている。
関係者の話を総合すると、建設場所は福岡市内、人工島が最有力候補地だとされる。アジアの玄関を標榜しながらも、既存施設では国際的なイベントを開催するキャパシティが不足しているという理由がつけられている。国際会議場、マリンメッセでは物足りないということのようだ。
東京には建物の独特な外観で知られている「東京ビッグサイト」(江東区有明)があり、23万平方メートルの広大な敷地には、大小の展示場、会議場はもちろん、レストランエリアも併設され、ゆりかもめやりんかい線、水上バスと交通アクセスも充実している。8万平方メートルに及ぶ展示場面積は、もちろん国内最大規模を誇る。周辺にはファッションビルや宿泊施設も建ち並び、東京のひとつの顔となっている。総事業費約2,000億円ともいわれるだけに、充実度は桁外れの施設である。
税金投入への理解は得られるか
現在一部の関係者だけで静かに進められているコンベンションセンター建設計画は、この東京ビッグサイトを指向する施設ではないか、ともいわれている。「箱物行政に逆戻り」との批判をかわし、福岡県の「顔」となりうる施設規模と内容が実現すれば、アジアの玄関口としての面目も立つかもしれない。問題は地元福岡の人口規模である。「福岡一極集中」といわれてきたが、人口規模は東京の十分の一に過ぎない。完成した施設がどんなに立派でも、イベント開催日数や集客数次第でたちまち「失敗」の烙印を押されかねない。
九州のテーマパークの歩みを振り返れば、そうした心配が杞憂ではないことが分かるだろう。福岡市が人工島の土地を差し出し、県が主体となり建設を受け持つとしても、多額の税金が費消されることにどれほどの理解が得られるか疑問である。
市役所人事にも影響が!
うわさ話の域を超え、具体的に県議・市議レベルが動き出したこの計画。思わぬところに影響をもたらしてもいる。明日は、福岡市役所を揺るがす「コンベンションセンターにからむ人事の迷走」を報じてみたい。
つづく