福岡市住宅都市局は6日、九州大学六本松キャンパス跡地の南側について、「裁判所が来ることを前提にまちづくりを進める」と明言した。また土地を売る大学側は、今年度中には開発事業者を決めたいとしており、売却先については「UR都市機構」を検討しているとした。この日開かれた「九州大学移転・跡地対策協議会」での一幕。
六本松跡地は約6.5ヘクタール。国有地だったが、2004年に大学が法人化したためそれ以後は九大が所有。六本松からは来年4月までにおおむね伊都キャンパスへの移転が完了するが、その後の跡地の活用は決まっていない。
こども病院の移転候補地にも挙がったが、「土地取得費用が高い。土地の間を道路が走るので…」(市保健福祉局)などと取り下げた。市が人工島への移転を決めた今も、病院移転への期待は根強い。
六本松の跡地利用は、「跡地利用計画策定委員会」(県、市、地元、裁判所などで構成)が昨年跡地利用計画を策定し、その際にゾーニングを決めた。
南側に「裁判所」を誘致するほか、地下鉄駅に面している北側は「交通の利便性を活かし、賑わいの創出や地域の活性化に貢献できる複合的な利用」、中央部に「避難場所、憩いの場としての広場」を配置する計画となっている。この日の協議会で、裁判所の誘致は市住宅都市局が太鼓判を押した。
地元住民からは「市で買い取って活用してほしい」との声が多いというが、市は「市で買い取る予定はない」と固持。活用の用途を縛ることになるゾーニングについても「見直す考えはない」としている。また、箱崎キャンパス跡地については、地元の市民団体から「歴史的建造物を取り入れ、公園として利用してほしい」と提案がされているという。市は「市としていまのところ、具体的な構想、利用計画はない」としている。
福岡で優秀な人材を輩出し、地域発展の屋台骨を形成してきた九大。移転で残る広大な敷地をどう今後のまちづくりにどう生かすのか。市は現在のところ無策に近い状態だ。