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揺らぐ政令市福岡の威信 強まる「県」の力 (上)
福岡市政ニュース
2008年9月 3日 17:50

「コンベンション・大学・美術館」と「こども病院」の駆け引き

 福岡市立こども病院の人工島移転問題に、事実上の決着がつけられる予定の福岡市議会9月定例会。12日の開会を前に、政令市福岡の威信も地に堕ちたとしか言いようのない情報が飛び込んできた。

 MAX市政ニュースでは、新こども病院建設にあたり、福岡市が公表してきた内容について、いくつかの疑問を提示してきた。
 まず、新こども病院のベッド数のことである。福岡市は新病院のベッド数を大幅に増床するとしているが、地域ごとのベッド数は限られている。特に福岡市内のベッド数は簡単に「増やします」と言える状態ではない。所管は県であり、福岡市が勝手に増床することはできないのである。こども病院のベッド数を増やすとすれば、同じ市立の「市民病院」のベッド数をこども病院に譲るか、特例として県や国に認めてもらうしかなくなる。
 いずれにしても「県」の意向次第ということなのだ。

 次に問題にしたのが、都市高速の人工島への延伸問題である。市側はこども病院が人工島に移転した場合、アクセスの不便さや救急搬送時の不安を解消する切り札として、都市高速の延伸を図ると説明した。しかし、その実現までには市や県、さらに国などで組織される「幹線道路協議会」での議論など、いくつもの過程を経なければならず、完成までに最低でも5~6年かかるうえ、建設費も300~400億円という膨大なものになると報じた。県に対する取材でも、「勉強会を開こうか、という程度の段階」とそっけなかった。
この弊社報道後、吉田宏福岡市長が麻生渡知事を訪ね、都市高速延伸の協力を要請するなど、動きが急になっていた。

 ベッド数の問題は県の所管事項であり、都市高速の延伸は県の協力なしには工事もできない。つまり、福岡市が県にお願いし、麻生知事が首を縦に振らなければ、こども病院に関する諸問題は解決できないということなのだ。市がどのような対策を立てるのか、疑問は消えていなかった。
 実は今年の春頃、一部の県会議員から「どういった形になるかは言えないが、いずれ吉田(市長)は知事や県議会に頭を下げるしかなくなる。それなりの条件が突きつけられる」という話が寄せられていたのだが、ここに来てようやくその全貌が見えてきた。

 福岡県が主体となって、先日報じた「巨大コンベンションセンター」に加え、「県立美術館」「旧県立女子大」を3点セットで「人工島」に新設・移設するという。県はベッド数や都市高速延伸などを含め、こども病院の人工島移転に協力するが、そのかわりに市側は3点セットの用地として「人工島」の市有地を「格安」で提供するのだとされる。
「政令市福岡」の威信は地に堕ちたと言わざるを得ないが、強まる「県」の力と利権構造の変化に気付いている関係者は少なくない。次稿ではさらに詳しくこの情報について検証してみるが、ここ数ヶ月の関係者の動きは一本につながっていた


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