渡邉雄太は、九州大学大学院博士課程に進学のため05年12月に帰国した。その後任として現地駐在員となったのは、井上さやか(23)である。井上は、福岡市の中村学園大学を06年3月に卒業するため4月からの着任となり、その空白期間を埋めるため古川純平が再び駐在した。古川は06年2月のCMC第10次スタディツアーの受け入れ準備を着実に行ない、スタディツアー始まって以来初の参加学生たちのモンドルバイ村でのホームステイを可能にした。
カンボジアのお正月
井上は女性であるため、現地駐在員となることにご両親の理解と協力を得るのに苦労していたが、4月1日、無事に古川と合流した。井上さやかが着任した4月の14、15、16日はカンボジアの正月(クメールニューイヤー)に当たり、その様子を報告してきた。クメール正月には、どの家庭でもお供え物としてジュースやお菓子、果物のほか、クシ、口紅、パウダーなどの化粧品類を準備する。クシや化粧品があるのは、女の神様(デバダー)が家に来るからだそうだ。このお供え物はお正月の3日間ずっと置かれ、1日2回必ず線香があげられる。
カンボジアは仏教国なので、みんな寺院に参拝する。おごそかに参拝しているところもあれば、お祭りの出店のように大賑わいのところもあり、お寺の周りにはたくさんの屋台が並ぶ。食べもの屋、服や靴の店、的当てゲームなど、その数は日本のお祭りに負けていない。
カンボジアのお正月と言えば、何といっても「マサウ」と「コップタック」であり、この2つをみんなとても楽しみにしている。「マサウ(白い粉)」は、白い粉を顔に塗るというもので、女子の顔を触れるからという理由でとくに若い男子に大人気だ。男たちは常に白い粉を手に持ち、女性を見つけると知り合いである、なしに関わらず顔に粉をつけてくる。突然どこからともなく手が出てきて粉をつけられるので、とてもビックリする。
「コップタック(水投げ)」は、以前はバケツに用意した水をすくってかけていたが、ここ10年は小さな袋に水を入れて投げるのが流行らしい。当たりどころが悪いと、とても痛い。お寺のなかでも道沿いでも、どこで水をかけられるか分からない。道をバイクで走っていると、水をかけようと随所に人々が待ち構えている。時にはバイクを止められ、バケツ一杯かけられることもある。かける方もかけられる方も、とても楽しい。
つづく
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