福岡市人事委員会は11日、民間と比べて高くなっている福岡市職員の給与・特別給について、「改定を行なわないことが適当」と職員給与を据え置くよう吉田宏市長に報告した。
人事委によると、市職員の平均給与は42万6,490円。地元民間企業の平均給与は42万6,464円で、市職員が民間よりも26円(0.01%)上回っているが、委員会は「給与較差は極めて小さい。給与改定を見送ることが適当であると判断した」と報告した。据え置きは2004年に次いで2回目という。
民間平均、比較対象は「50人以上」
しかし気になるのは、民間給与の平均と試算されている42万6,464円である。いまどき平均40万円の給与を与える会社ばかりだとしたら、就職先を間違ったと後悔するサラリーマンは多いだろう。一般市民の感覚とはずれているのではないか。
市に民間給与の積算根拠を聞くと、「市内の事業所に50人以上の職員がいる」企業が対象となっているそうだ。職員50人以上の事業所は市内に825あり、その中から無作為に抽出した174事業所と比較しているという。
要するに、ニッポンを支える中小企業や個人経営者は無視されている。派遣社員やフリーターといった非正社員がこれだけ多くなっているご時世だ。「職員50人以上の事業所で正社員」はエリートに分類される。倒産や解雇というリスクを抱えている企業と同じに考えるのは、違和感を覚える。民間平均の基準を見直してみたらどうか。
市長談話
この報告に対して、吉田宏市長は談話を添えて発表した。
「報告の取り扱いについては、職員の勤務条件に関わる問題でもあり、関係職員団体とも協議しながら、国、県、他都市の状況等を参考にして、慎重に、かつ、誠意をもって対処する考えでございます」としている。
「誠意をもって」とは、誰に対する誠意か。職員か、それとも市民にか。本当に市長が書いたか疑わしい談話だが、曖昧な言葉が並ぶ。選挙時に市民と約束した「福岡市の財政再建」をどうするのか。市長はどちらを向いているのか。市民にわかるような談話をお願いしたい。
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