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【倒産を追う/(株)インベスト】会社更生法の取り下げで早川氏主導の再建へ(上)
特別取材
2008年9月13日 12:30

「資金繰りには困っていなかった」

 目まぐるしい攻防を経て代表に復帰した早川氏は、会社更生法の取り下げが認められると即座に記者会見を開いた。やや緊張した面持ちのなか、明らかにされた主張は主に2点。(1)小笠原一成氏は代表選任に必要な過半数の取締役の賛成を得ておらず、会社更生法手続きに必要な過半数の賛成も得ていなかった、(2)そもそも資金繰りに窮していなかった、というものである。

 早川氏は6月29日に開かれた臨時取締役会で解任された。当時の取締役は4名。早川氏、監査法人出身で解任動議を提出した小笠原氏、金融機関出身の才川治氏、そして大阪営業所長の中原孝祐氏である。中原氏は当日大阪にいたため電話での参加となった。議決権があるのは当事者の早川氏を除く3名。このうち小笠原氏と才川氏が賛成したため可決された。新代表の小笠原氏の選任と会社更生法の申請は過半数の賛成を得たはずだった。

 ところが、早川氏から明らかにされた事実は、新代表の選任と会社更生法の申請について過半数の賛成を得ていなかったというもの。これらは早川氏にも議決権があり、構図としては、小笠原氏と才川氏、早川氏と中原氏の2対2になり、いずれも過半数の賛成を得ることはできなかった。したがって、小笠原氏は正規の手続きを踏んでいなかったことになる(会社更生法の申し立ても同様)。いわゆる不適切な取締役会手続きだったというのだ。

 また、資金繰りに窮していなかったという主張の根拠も示された。小笠原氏サイドは申請に当たり、6月末に到来する金融機関2社へ向けた8億円の返済のメドがついていないことを理由の1つとしてあげた。だが早川氏は、そのうち3億円の返済は9月への延期が認められていたという。もう一口の返済については才川氏が管理していたが、直前まで一切の報告がなされておらず、「降って湧いた」話だったと説明した。
 この件について小笠原氏は、新代表選任と会社更生法の申請にあたっては「手続きに不備があった」と認めたものの、資金繰りについては「困窮していたのは明らか」として主張を変えていない。

なぜ民事再生法か

 預かり金の返還問題など社会的影響が大きかっただけに、記者会見には多くのマスコミが集まり、早川氏にさまざまな質問が浴びせられた。「なぜ会社更生法を取り下げて民事再生法なのか」。誰もが持つ疑問である。申請の経緯はともかく、インベストはすでに再建に向けて走り出しており、資産・負債に関する保全管理人の調査は完了直前にまで来ている。取り下げは、こうした作業が水泡に帰すことを意味する。

 小笠原氏が会社更生法を申請した際は、選択理由として法的な厳格さをあげた。周囲からは不可解ともとれる代表解任と会社更生法の申請に説得力を持たせるには、小笠原氏個人に何のメリットもあってはならない。

 こうした経緯を知る記者の口調は、自然と詰問調になったが、これに対する代理人弁護士の答えは、「交渉事に柔軟に対応できる」というものだった。民事再生法の方が臨機応変に再建に望めるという。会社更生法では、資産売却などの契約ごとにおいて手続きをしているうちに、機を失する可能性があるということだろう。いずれにしても、債権者への被害を最小限にとどめるという意図は双方同じである。選択の結果はいずれ白日のもとに晒される。

つづく



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