ネットアイビーニュース

NET-IB NEWSネットアイビーニュース

サイト内検索


カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

特別取材

【業界を読む/食品卸業界】地場SM再編にどう対応 (上)
特別取材
2008年9月13日 12:30

遅れる値上げ転嫁

 メーカーによる値上げの転嫁が遅れ、卸の業績が悪化している。食品卸2位の菱食の6月中間決算は、売上高が0.4%減とわずかながら前年同期を下回った。営業、経常利益はそれぞれ8.3%、10.8%の減少で「値上げ転嫁がずれ込んだのが主因」と説明している。地方卸首位のヤマエ久野は、第1四半期(4―6月)の売上は1.9%の増収だったが、営業利益は63%減、経常は50%の大幅減益だった。値上げ転嫁が充分でなく、利幅が圧縮された。ただ、両社とも7月から小売り売価が本格的に上がり始めたことから、積み残していた卸価格の値上げも浸透すると判断、通期予想は変更しない。

 卸側は、数量は落ち込んでも値上げ効果で売上金額が増えれば良い。これに対し、小売り側は競争が激しいため、値上げで数量、金額とも落ち込むことを最も恐れる。できるだけ従来価格で仕入れ売価への転嫁を先送りし、他社との競争で優位に立ちたい。卸にとって最悪のシナリオは、メーカーと小売りにはさまれ、コストアップ分を転嫁できず、マージンが減り収益が悪化することだ。

 食品卸は粗利が8%前後しかない薄利の世界。売上高経常利益率は大手では最高のヤマエ久野でも1%を切る0.9%にすぎない。粗利が1ポイント低下しただけで赤字に転落する。

全国問屋は8社体制に

 巨大化する大手スーパーに対抗する形で中間流通ではこの数年、買収・合併の大型再編が相次ぎ、加工食品の全国卸は別表の上位9社にほぼ集約された。西日本が主体の旭食品を除いても8社体制になった。イオンやセブン&アイグループなどの大手スーパーのニーズに対応するには情報インフラや物流システムの整備に巨額の投資が欠かせず、規模を拡大する必要があるためだ。

 最大手の国分は各地の地方卸を傘下に収めることで規模を拡大、1兆円企業に1番乗りした。菱食はニチレイと共同出資で設立したチルド食品の「アールワイフードサービス」(RYFS)を06年10月、吸収合併。ドライからチルド、冷凍のフルラインの品揃えで売場シェアを拡大する狙いだったが、前期は減収で合併効果は出ていない。いったん業界首位に躍り出たが、前期は再び国分に明け渡した。

 チルド主力の日本アクセスは昨年4月、同じ伊藤忠商事系でファミリーマートの納品問屋である西野商事と合併した。菱食と同様、フルライン展開することでシェア拡大を目指したが、前期の売上高経常利益率は0.48%で、合併前の5.1%に及ばない。

 前期は別表の大手10社中、国分、加藤産業、伊藤忠食品、日本酒類販売、旭食品の5社が経常減益で明治屋商事が赤字だった。スーパー間の競争激化が納品価格にしわ寄せされているうえ、物流コストが増大しているためだ。三井物産系卸が合同して発足した三井食品を含め、規模拡大が必ずしも利益拡大に結びついていない。06年4月、業界を驚かせた国分と三井物産、三井食品の業務提携がほとんど進んでないのは、メーカーと違い中間流通では合理化などの規模の利益が働きにくく、提携メリットが少ないためだ。

つづく

 


※記事へのご意見はこちら

特別取材一覧
NET-IB NEWS メールマガジン 登録・解除
純広告用レクタングル

2012年流通特集号
純広告VT
純広告VT
純広告VT

IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル