預かり金問題
インベストにとっての最大の懸案が、「預かり金問題」であることは間違いない。処理を誤れば責任追及の声は厳しさを増す。「福岡東ザ・パーク」などの契約者の預かり金は返還されていない。会社更生法の申請後に小笠原氏らによって開催された債権者説明会では、切実な質問や要望が相次いだ。記者会見でも当然この件について質問が及んだが、答えは存外簡単なものであり、「会社更生法申請が原因である」として小笠原氏側に原因を求めた。「申請がなければ無事に返還できた」というのだ。今後は「監督委員の弁護士の指導のもと、できる限り弁済していきたい」と解決法も示されたことで、それ以上の追及は無かった。
では、小笠原氏は何のために一連の行動に出たのか。痛烈な社会的制裁を受けてまで会社更生法に踏み切った意図が見えない。早川氏に問うたところで知るところではないし、筋違いなのは明らかだが、この件について質問が飛んだ。コメントは得られないものと思われたが、代理人弁護士は「本人で無いと分からない」としたうえで、「何らかの意図で経営に参画したかったのではないか」との見解を示した。
後に筆者がこの件についてさらに詳しく問うと、「(小笠原氏は)実務を担当していた経理担当者も退職させた(小笠原氏によると自ら辞職)。会社更生法がいかに厳密といえども、素人の管理人弁護士が実務を担当するのは不可能。(小笠原氏の意思が入る)余地はあるのではないか」と推察する。ただし、会社更生法では代表交代は必須である。会社更生法申請時に代表だった(実際は就任していなかったが)小笠原氏は退任せざるを得ない。それ以前に、早川氏の復帰を予想し、8月中旬にはいずれにしても退任せざるを得ないことを予想していた。とすると、小笠原氏の予定していた任期はむしろ想定より長かったということになる。真相は今後明らかになるだろう。
再建の行方は
仕切り直しとなる債権者説明会が、9月18日に開催される。どのような再建案を出してくるか注目される。とりわけ「福岡東ザ・パーク」の債権者にいかなる対応を見せるかで本気度が分かるだろう。関連会社2社・インベストサービスとアールリゾートも会社更生法を取り下げたが、この2社は法的手続きをとらず自力で経営を続けるという。小笠原氏側は、全社を申請した理由にインベストサービスとインベストの間の資金流用の透明化などをあげた。民事再生法は、債務者会社に主体的に意思を入れて早期の再生を促すのが目的であり、債務者自身による財産管理、自主再建が前提となる。今回は紆余曲折を経ているだけに、中途でのグループ企業の破綻や弁済方法に不可解さがわずかでも出れば、債権者の怒りは倍増するだろう。スポンサー候補数社の存在も明らかになっており、落としどころは未だ不透明である。
早川氏は、会社に損害を与えたとして、小笠原氏ら旧取締役に刑事告訴や損害賠償を含めた責任追及をしていくという。奇しくも小笠原氏が受身になるが、そうした事態に及んだ場合は「受けて立つ」と言う。いかなる決着を生むにせよ、より多くの債務の弁済がなされることが望まれる。
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