地方スーパーの再編続く
大手による合併・提携から圏外にあった九州の地方卸も、地場スーパー再編のゆくえ次第では今後も自主独立路線を維持できる保証はない。全国規模の大型再編は、ダイエーがイオングループ入りしたことで一段落し、地方に再編の波が押し寄せつつある。
九州ではこの数年、サニーが西友を通じてウォルマートの傘下に入ったのをはじめ、ユアーズによる丸和、西日本鉄道によるスピナ、ハローデイによるボンラパス買収と大型M&A(合併・買収)が相次いだ。今年に入っても、イズミとマルミヤストアの資本・業務提携、久留米の老舗スーパー・(株)タイホー廃業、マックスバリュ九州の同社跡地出店と、企業同士の合従連衡や好調企業による破綻企業店舗の買収に衰える兆しはない。
卸が神経をとがらせるのが、再編に伴う取引問屋の帳合変更。サニーが西友子会社になったのを機に、主力問屋がヤマエ久野から西友本社と取引がある国分に移行。ウォルマートグループ入りすると、一部の地場商品を除き多くの地場問屋が取引を打ち切られた。仕入機能を西友本体に集中させコストを削減するのがウォルマートの狙いだ。
ヤマエはイオン九州とマイカル九州の合併で、旧マイカル九州当時から続いてきた取引が大幅に減る。その代わり、これまで取引のなかった西鉄ストアと物流一括受託を通じて取引拡大が見込めるほか、スーパー大栄ともグローサリーの物流を通じて新規取引が期待できる。
取引先の廃業や破綻で売上が減り、経営が厳しくなるケースもある。タイホーに主力で日配を納品していた(株)アマモト本家(鳥栖市)は同社の廃業で有力取引先を喪失。昨年末に新物流体制移行を機に西鉄ストアとも取引を打ち切っており、両社の穴を埋めるのは容易でない。
今年初め廃業した日配問屋の(株)蒲正は、サンリブ、丸和との取引がなくなったのが破綻の遠因。サンリブとは古い取引関係があり日配の主力問屋だったが、利益率改善の一環として取引先の集約化を進める同社の方針に対応できず、取引が年々縮小、破綻2年前にはゼロになっていた。代わって日本アクセスとコゲツ産業が後を埋めた。丸和とは、同社がユアーズ傘下に入ったことで取引を打ち切られた。両社向けの売上をカバーするためシジシーグループ専用の物流施設建設に大型投資をしたのが命取りになった。
食品流通では、トライアルカンパニーなどのディスカウントストアやコスモス薬品を筆頭とするドラッグストアの新興勢力が台頭、無視できない存在になってきた。地域の食品スーパーと結びついてきた地場卸にとって、従来チャネルに固執するだけでは地盤沈下になる。国分や伊藤忠食品などの大手は医薬品卸との提携に踏み切り始めた。物流を共同で行なうだけでもメリットはある。
地方卸はこうした業種業態を超えた提携戦略でも大手卸に出遅れている。流通再編の激動の波に乗れるかどうかで、生き残りが決まる。
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