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特別取材

不況を生き抜く地場企業(2)/(株)丹創社(クレアプランニング(株))
特別取材
2008年9月20日 09:30

創業35年 社名変更で新たな挑戦

 空間プロデュース事業を掲げ、商業施設や公共施設の内装設計・施工において、相応の実績と優れた技術を有する(株)丹創社が、10月1日より、社名をクレアプランニング(株)に変更する。建設関連業界全体に暗雲がたちこめるなか、「不景気のときにこそ、何かを起こさなければ」と語る同社代表取締役社長・中田泰之氏に、今後の展開を聞いた。

[COMPANY INFORMATION]
代  表:中田 泰之
所在地:福岡県大野城市瓦田4-14-39
創  業:1973年8月
設  立:1981年12月
資本金:5,000万円
TEL:092-591-2522
URL:www.tansosha.co.jp

次なるステップへ向けて

 ―2006年11月に「cora crea」をオープン、さらに今年4月に東京営業所を開設するなど、動きが活発化しています。今回の社名変更は、御社にとってどのような意味をお持ちですか。
 中田 創業35年ということもあるのですが、今年10月1日より、社名を「クレアプランニング(株)」に変え、新たな創業期へ向けたターニングポイントにしたいと考えています。社名の「クレア」は「創造する」という意味のラテン語で、現社名「丹創社」の「創」の字を引き継いだかたちです。今まで通り、施工技術・能力などの"つくる"という意味でのハード面を研鑽しながらも、こちらから仕事を"創り出す"ための企画提案力といったソフト面も強化していこうという意味を込めています。お客さまのところへ行って、仕事を下さいという時代ではありません。

 福岡市中央区今泉の商業施設「季離宮」にプランニングオフィスとして「cora crea」をオープンしたのも、空間プロデュース能力を高めるといった意味合いがありました。4月に開設した東京営業所でも企画提案型の営業に力を入れているのですが、これが思いのほか好調です。都心では中小規模の商業施設の再開発・リフォームといった案件に対するニーズが高く、大手さんと違い小回りがきくというところでも評価をいただいています。このように、新たなことにも積極的に挑戦していきたいですね。

 ―福岡県大川市の生産工場(大川テクニカルセンター)を建て直したときも、業界環境は良くなかったと記憶しています。現在も"建設不況"と言われていますが、こうしたタイミングで何かしらのアクションを起こすのはなぜでしょう。
 中田 とくに確固とした理由があるわけではありませんし、偶然と言えば偶然なのですが、不景気のときにこそ手を打っていかなければ、伸びるチャンスを逸してしまうのではないでしょうか。じっとしていても意味がありません。

 2011年には九州新幹線が全線開業となり、それに伴って新博多駅も完成します。それに向かって、今後は駅周辺の再開発が活発化すると予想されています。中・長期的観点に立てば、業界環境は良くなると見ています。それに向けた計画の一環という意味もありますが、どうであれ、動かなければ何も始まらないと、ポジティブに考えています。

ひとづくりにも工夫を

 ―世代交代という意図もありますか。
 中田 もちろん、それも視野に入れています。丹青社さんから株を買い取り、資本提携を解消したのも、次の世代へまっさらなかたちで受け渡したいというのがありました。「クレアプランニング」を担っていくのは若い人たちです。
 大川テクニカルセンターでも生産効率が上がってきていますが、それは工場を建て直したときに入ってきた若い人たちが10年の経験を踏まえて成長してきたからです。彼らは新たに入ってくる、さらに若い人たちに対する教育も上手く、何よりチームワークという点で優れています。

 ―技能を要する製造業者の多くが人材育成に関して四苦八苦しているなか、新たな世代が伸びてきているというのは稀有なことです。
 中田 "職人"としての誇りをどうやって形成するか、それに対して経営者として何ができるかということが重要でしょう。
 私どもでは、大川の工場で働く人たちに家具製作技能士の試験を受けてもらっています。もちろん、取得へ向けた教育もキチンと行なっています。現在、全員が技能士の資格を取得していますが、それだけでなく、一人ひとりが「家具製作1級技能士」と記載された名刺を持つことで、モチベーションの維持・向上につなげています。

 また、資格を持っているだけでは意味が無い、その技能を披露する場が必要だということで、今年3月、九州国立博物館にて「大川建具・彫刻・創作家具 伝統と巧の技展」を開催し、いろいろな業者さんに作品を出展してもらいました。今や500万人を超える方々が来場するなど、観光名所となっているところですので、そこで展示会を開くのは無理かと思っていたのですが、こちら側の熱意を理解していただき、ようやく実現しました。6日間の開催だったのですが、1日平均3,000人の方々に見ていただいたということで、非常に良い機会だったと思っています。

まずは"良いもの"

 ―大川地区の状況をどのように見ていますか。
 中田 ご存知の通り、過去の活気は無くなってしまっています。スケールメリットを活かすため、大量生産して何とかしようとしている業者が多いのですが、それでは活路を見出せないのではないでしょうか。初めは生産量が少なくても構わないので、お客さまと一緒になって"良いもの"をつくっていく。大量生産の時代は終わりました。この考え方は、大川にのこされている素晴らしい匠の技を、後世に伝えていくという意味でも重要なことだと思います。

 ―御社の場合、人材育成を通じて大川地区の活性化に貢献しているとも言えますね。社名変更後も、こうした姿勢を貫いていただきたいと思います。本日はありがとうございました。
 中田 ありがとうございました。


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