am/pmを売却へ
案の定というべきか。レックスの経営は思わしくない。不採算店が多く、高い買い物についたam/pmを売却して、レックスの経営状態の改善につなげようと判断したわけだ。
レックスの売却打診に対して、ローソンやファミリーマートが買収するかどうか検討しているという。独走中のセブンイレブンに大きく水をあけられた両社は、加盟店を増やすことにつながるからだ。だが、「買い手が本当に現れるだろうか」と首を傾げる業界人は少なくない。
「ブランドの一本化を前提にした買収の場合、ネックになるのは加盟店オーナーの問題。am/pmとレックスが合意すれば買収できるという簡単なものではない。オーナーと新たに契約を結ばねばならないし、FC契約を解除する場合は、違約金を支払うことになる。」(業界関係者)
am/pmの店舗のうち、ローソンやファミリーマートにとって近隣に既存店があるなどの理由で、5割の店舗は不要と見られている。その場合、FC契約を解除する店舗には違約金を払わねばならない。買収しても、負担が増えてプラスになるとはかぎらない。
優良店舗のみを買収したい大手コンビニとレックスの交渉が難航するのは必至。首尾よく売却できても、買値の半値で売れればオンの字。巨額の売却損を出すことになろう。
TOB価格で不当判決
西山は06年11月に独立系投資会社のアドバンテッジ・パートナーズ(AP)と組みMBO(経営者が参加する自社買収)でレックスの株式非公開化に踏み切った。
しかし、MBOを実施した際の株式公開買い付け(TOB)の価格が株価誘導で安く抑えられたとして、法人株主1社と個人株主120人は、買い取り価格を公正に決定するよう求める訴訟を東京地裁に起こした。東京地裁は、買い取り価格は妥当と判断したが、株主側は直ちに高裁に抗告。
東京高裁は9月12日、買い取り価格(1株23万円)は不当に安いとして、株主側に勝訴の決定を下した。高裁は、適正な買い付け価格を1株33万6,966円と決定。TOBの価格を不当とした司法判断は初めて。
レックスのMBOは、恣意的に株価を引き下げて、既存株主から安く買い取り、再上場することで高値売り抜けを狙った錬金術であった。既存の株主は、究極のインサイダー取引と反発したわけだが、司法が株主側に軍配を上げた影響は大きい。
リストラでスリム化して再上場すれば、多額な上場益が入るとあって、一時、MBOがブームになった。非公開化を利用した再上場目的のマネーゲーム型MBOに、司法がお灸をすえた格好だ。
西山のレックスに逆風が吹く。コンビニの売却、MBO価格の敗訴。次は高級食品スーパー・成城石井の売却だ。(敬称略)
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