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特別取材

【倒産を追う/(株)後藤組】依存型の気概なき経営が原因
特別取材
2008年9月23日 08:30

[COMPANY INFORMATION]
代 表:後藤 誠
所在地:大分市王子北町3-47
資本金:1億5,000万円
業 種:総合建設業
年 商:(08/6)約58億5,000万円

業歴70年を超える老舗企業

 同社は1921年(大正10年)7月に後藤組として個人創業されたのが始まりで、47年12月に株式会社として法人改組した。同年9月には宮崎営業所、48年5月には熊本営業所、49年9月には福岡支店、51年1月には豊前営業所、71年4月には東京事務所を開設し、主に九州一円での営業展開を図っていた。
 トンネル工事、高速道路建設、大型商業施設建設、マンション建設などを主体として、ピーク時の96年6月期の売上高は160億4,600万円を計上、大分地区トップクラスのゼネコンへと成長していった。
 現代表の後藤誠氏は3代目の社長で、80年8月同社に入社、91年7月代表取締役に就任した。同氏は東京大学卒業後、司法試験に合格、同社入社以前は横浜弁護士会所属の弁護士であり、現在も弁護士資格を有している。

同社の民事再生手続き開始の内容を記した公示書
 
 ▲クリックすると拡大されます

バブル経済破綻後の転機

 受注が安定してきた90年代には150億円の売上高を計上するなど、順風満帆に見えたが、バブル経済破綻の影響で、国も地方公共団体もこぞって公共事業の削減を実施、そこに依存していた同社はもろに影響を受けることとなった。売上高も100億円を割り込み、80億円台で推移し、ジリ貧の様相を呈していった。
 この頃から、同社は経営再建の名のもとにさまざまな対策を打ちはじめた。最初に取り組んだのは人員削減策で、従業員を110名まで減らした。経営上の合理化となったことは事実であるが、実は退社したほとんどがベテラン技術職員だったようである。また、仕入先協力会を解散させ、得意先に支払い条件の変更依頼をし始めたのもこの頃である。ちなみに、実際に支払い条件の変更を受け入れた取引先はほとんどなかった。ただ、この支払い条件変更の件は、今年に入ってからも噂として筆者の耳にも届いていた。
 このような状態のなか、同社にとってさらに追い討ちをかけるような出来事が起きた。それが07年6月に施行された「改正建築基準法」と、同年秋に施行された「改正まちづくり三法」である。両法律の施行で発注業務の停滞が発生、大型商業施設建設を得意とする同社にとっては痛手となった。

さまざまな噂

 ここまでの話を総合すると、あらゆる建設・不動産会社に当てはまりそうな話ではある。建築基準法の改正で着工したくてもできずに破綻した企業が昨年からたくさん出ているし、今後もこの状況は続くものと予想される。ほかの業界でも、改正法の影響がジワジワと出てきている。
 しかし、同社はこの改正法が施行される前の02年6月期の売上高が100億円を割り込み、その後は一気に売上高が減少している。取材を進めると、同社は「さる有力者との深い関係があった」という話も聞かれた。公共工事縮小に加え、この有力者との関係が切れたことも売上高の落ち込みの一因になったという業界関係者もいる。このことが事実ならば、大分地区トップクラスのゼネコンでありながら、何とも情けない話である。代表の後藤氏は頭脳明晰で人柄も良いとの評判ではあるが、会社を経営する能力は学力とは別なのであろう。自分の会社を何としても存続させる、という強い気概に欠けていたと言わざるを得ない。
 マスコミへの発表では、最終的に原材料価格の高騰で工事原価が増大したことが資金繰りを悪化させ、今回の措置となったとしていたが、社長の強固な意志があれば、従来からの慣習より脱却し変化することができたはずである。それができなかった後藤氏は、社長の器として適当だったかどうか疑問である。


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