Net-IB掲載記事「アーバンコーポの倒産で荒稼ぎ ~生き馬の目を抜くハゲタカ外資の裏技~ 」を呼んだ読者からの投稿を紹介する。
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「92億円しか入金がなかった。入金300億円はなかった」
300億のCBが発行されたにもかかわらず調達できたのは92億円。記者会見でそう答えている。
①6月26日(新株引受権付社債発行時)
未収金 150億円 / 新株引受権付社債 150億円
投資有価証券(スワップ)150億円 / 新株予約権(権利行使分) 150億円
パリバからの入金はなかった。スワップ取引は信用取引が可能で、差金決済も可能。また、スワップ取引を開始する際に、実際のキャッシュを必要としない。信用取引だからだ。しかし、株価は低迷し、どこの金融機関も融資をしてくれず、信用も無きに等しいアーバンに対し、なぜパリバがスワップ取引に応じることが可能であったのか。
それは未行使分の新株引受権付社債を債権者としての地位を有しながら担保に取っていたからではなかろうか。債権者の地位であれば、もし、会社が倒産しても株主よりも先に優位に弁済が受けられる。これがスワップ契約の担保になる。
150億円の信用取引であるスワップ取引を開始するには必ず担保が必要。スワップは仕組債の購入と異なり、実際のキャッシュを必要としない。CBを300億円分発行し、150億円を権利行使し株式を取得、これをスワップ取引に使用する。一方で、残った150億円は権利行使せずに社債権者としてアーバンに対し優先的弁済が受けられる地位に居座る。150億円分の信用取引であるスワップ契約を結ぶ際の担保としての地位だ。
スワップ契約の中身は、パリバにアーバンの新株引受権付社債を引き受けてもらい権利行使させる。そしてパリバが権利行使して入手した株式を市場で売りさばき、株主に売りさばく。そしてパリバが手に入った代金をアーバンに振り込みスワップ交換をする。
パリバは150億円分の新株引受権を行使し、344円で株式に転換。4300万株の株式を取得した。そしてパリバはこの4300万株を株価の下落を伴いながら市場で売りさばいた。株式を売りさばき現金を取得した。そして、そこから手数料を差し引いた金額をアーバンに振り込んだ。降り込んだ金額は92億円。
②8月 民事再生法申請直前、スワップ契約終了時
現 金 預 金 92億 / 投資有価証券(スワップ) 150億円
投資有価証券売却損 58億
「300億円の入金はなかった。入手できた金額は92億円。更に損失が58億円発生した」
債権者説明会や記者会見でのこの言葉が物語っている。
金がなくてもできるのがスワップ。金を振り込まなければ運用ができないものが仕組債。信用取引と現物取引の違いの様なものだ。信用取引をするには担保が必要。金融機関であるならば尚更だ。
もし、現金の振込もなく信用枠でスワップ運用を開始するとなると、大きな損失等が発生する可能性があるが、そのIRは相対取引であるとして開示する必要はなかったのか。そして、パリバは新株引受権付社債150億円をアーバンに債権者としての地位を有しながら振り込んでいないが、これは実質スワップの担保のようなものではなかろうか。
スワップ契約をするには担保が必要だ。この担保として新株引受権付社債部分150億円を有している可能性があるのではなかろうか。権利未行使分の新株引受権付社債部分150億円はアーバンに振り込んでおらず、信用取引スワップ運用の担保を取っていることと同じではなかろうか。
パリバ側は150億円の新株引受権付社債を有することで債権者としての地位にある。株主に優位に債権の弁済を受けることができる。更にアーバン側にこの150億円を振り込んでいない。パリバのこの150億円を債権として認めるのか。また、認めるとすれば他の債権者を害さないか。
アーバンは新株引受権付社債を300億円分発行しているにもかかわらず、パリバの300億円分の払い込みがないとは、架空増資と同じものではなかろうか。パリバとアーバンの間で密約があったとすれば、この担保の部分ではなかろうか。300億円の資金調達ではなく、アーバンは初めから150億円分を入手する目的であったのではなかろうか。
これが公正な株式市場における、新株引受権付社債なのだろうか?