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コダマの核心

恐慌前夜 アメリカ金融帝国の崩壊
コダマの核心
2008年9月17日 09:54

 我々は今、新しい時代に突入している。少なくとも第一次世界大戦の頃から、世界に君臨し、支配してきたアメリカ帝国の崩壊が始まっているのだ。世界を凌駕したパワーの根源は軍事力と金融の力であった。アメリカ帝国を支えてきた力の一翼とも言うべき金融支配力が自滅したのだ。戦争という要因で崩壊したのでない。一人相撲で自爆したことにより、金融秩序が粉砕してしまったのだ。恐らく世界史上、おそらく前例のない類の破綻であろう。

 我々は「世界恐慌」の入口に震えながら立ち竦んでいる。認識しない人もいるだろうが、それは少数にすぎない!!このアメリカ金融帝国の瓦解を2003年から予測していた卓見の人がいる。副島隆彦氏である。最近、『恐慌前夜 ― アメリカと心中する日本経済』(祥伝社刊)を発刊された。この本の「まえがき」を紹介しよう。上場会社のA社長が「コダマさん、私は副島氏の本の大半を読んできたが、この6年間、彼の予測通りになってきた」と絶大なる称賛をしている。経営者の方々はこの副島氏の『恐慌前夜』を読んで企業防衛にあたる必要がある。この本を熟読されれば身震いをするであろう。

『恐慌前夜』のまえがき

 この7月から新たな金融危機が始まった。7月13日にヘンリー・ポールソン米財務長官の驚くべき記者会見があった。私が前々作『ドル覇権の崩壊』と、そのあとの『連鎖する大暴落』(いずれも徳間書店刊)で主張してきたとおりである。アメリカはいよいよ本格的な金融恐慌に突入しそうである。次の「連鎖する大暴落」が年末までに起こるだろう。この7月危機を引き継いで、事態はさらに深刻になってゆく。大きな銀行と証券会社が世界中で次々に倒産(破綻)してゆく。
 この7月危機では日本の三つの大きな金融法人が相当の打撃を受けた。致命的と言ってもよい。それは農林中金と三菱UFJ銀行(三菱UFJフィナンシャルグループ)とニッセイ(日本生命)である。農林中金は実質的にすでに破綻(破産)しており、やがて、みずほ銀行に救済合併されていくのではないか。しかし、みずほも同じく1.2兆円「やられている」。この農林中金、三菱、ニッセイ三つの日本の大金融会社が今回受けた大損害(戻ってこないお金)は、下表のとおりである。
 7月13日にヘンリー・ポールソン財務長官が、日曜日だというのに、ただ一人で記者会見を開いた。ここでアメリカの二大住宅公社であるフレディマックとファニーメイの経営危機が突如、大きく表面化した。世界中が仰天した。株価が急落(10ドル割れ)し、アメリカの金融市場全体の信用危機(システミック・リスク)が起きつつある。最悪の場合、この二大金融会社のデフォルト=破綻、倒産に発展する。このことをポールソンは、正直にさらけ出すように白状したのである。これは大変なことだ。次の新聞記事がその証拠である。

サブプライム 米、公的資金注入も 住宅金融2社を支援
 米政府と連邦準備制度理事会(FRB)は7月13日、低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)問題の影響で株価が暴落している米政府系住宅金融会社の連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)に対する緊急支援声明を発表した。米政府が融資枠拡大や、公的資金注入による資本増強を検討、FRBも資金繰りを全面支援する。・・・・・両社は米住宅ローン残高の半分程度に当たる5兆ドル(約530兆円)規模のローンに関与しており、住宅価格の下落や融資の焦げ付き急増で資産が劣化。損失処理に資本不足との見方が広がり、株式の売りが殺到し、両社の株価は昨年のピーク時から80%下落、過去の16年で最低水準に落ち込んだ。

(産経新聞 2008年7月15日)


サブプライム問題、再燃 米大手金融、損失底なし
 国内金融機関が保有する米政府系住宅金融会社発行の債券は、今年3月末時点で農林中央金庫の5兆5,000億円を筆頭に総額15兆円を超える。利回りが相対的に高いうえ、「米国債に準じる安全資産」とみられているため人気を集めてきた。
 米銀同様に邦銀もサブプライム関連の証券化商品に投資し、多額の損失を計上した。米政府系住宅金融会社の経営危機が深刻化し関連債券が急落すれば、日本の金融機関も巨額損失を被りかねない。
 ただ、米政府が支援に乗り出していることから、邦銀関係者は「関連債券は米政府が償還を事実上保証している」と指摘。・・・・・それでも、米政府の支援が順調に進まないと関連債券の価格が下落する恐れは残り、金融庁も各金融機関に保有残高の報告を求めるなど慎重に状況の推移を見守る考えだ。

(毎日新聞 2008年7月19日)

 このフレディマックとファニーメイの累積損失は、なんと合計5.2兆ドル(530兆円)である。5.2兆ドルという金額が、実はもう戻ってこないのである。日本円で530兆円という金額が、どれほどとてつもないものであるかを考えてみてほしい。豆腐が5丁、10丁という話ではない。あまりに巨額のお金の話になると、私たちはまったくの他人事のように思ってしまう。

 さらにはこれを二桁少なくした、日本円での5.5兆円という農林中金の投資額(フレディ債とファニー債とその他の仕組み債を購入した保有残高)は、とてつもない巨額の金である。誰が何と言おうがこれらはもう返済の目処が立たなくなっている。

 アメリカ政府(米財務省)が資本注入=税金投入=公的資金投入で、これを救済するものだと、日本人は皆で思い込んでいる。もはやそんなことはないし、できないのである。この二つの米住宅公社を実質的に国有化(nationalize ナショナライズ)するとか、アメリカ政府の全面支援が必ずあるというような噂話や愚かな解説が日本国内で今も広まっている。しかしそれらは嘘だ。アメリカ政府はこれらの損失の補償(住宅債券の金額償還)を保証したり肩代わりしたりはしないし、どうせできないのである。

 ここで私は、はっきりと書いておく。フレディマックもファニーメイもGSEである。
GSEとは、Government Supported(あるいはSponsored)Enterpriseという性質の特殊な企業である。「半官半民」と言いたいところである。しかし実は民間企業なのである。「公社」と日本語で訳されるから、だから公共企業体であろうと日本人は勘違いする。アメリカ人の普通の感覚では、この「住宅公社」は国営企業(役所)などではなくて民間企業なのである。

 GSEという言葉は、日本の新聞記事でも急遽、頻繁に使われるようになった。このGSEは、「政府支援企業」なのであって、決してGovernment Guaranteed Enterpriseではない。すなわち「政府保証企業=国有企業」ではないのである。この点を日本人は政治家のトップから財界人、官僚たちを含めて全員で誤解している。あるいは半ば意図的に私たち国民に気休めのための嘘情報を流している。

「安心してください。米住宅公社債は米国債に次ぐ安全な公債です」と、さかんに宣伝なのか言い訳なのかしている責任者たちの姿がメディアに映った。しかしやがて、そのうち真実が露呈する。返せない金は返せないのである。厳しく世の中(世間)を渡ってきた読者のみなさまならば分かる。大丈夫かなと思いながら、情にほだされて「貸した金は返ってこない」のである。親戚や友人から泣きつかれて貸した金は返ってこないとあきらめるしかないのだ。それが凍りつくような浮き世の定めなのである。貸した自分が馬鹿だったと思うよりは、最初からあげた金だと思うのが賢い人間のすることだ、ぐらいは苦労人なら知っている。
 それでも貸した金が、あまりにも大金、巨額すぎると自分の首が回らなくなる。すなわち連鎖倒産である。今や日米は「抱きつき心中」あるいは「抱きつかれ心中」の関係に突入したのである。

 
日本の金融機関が保有している米国政府系住宅金融会社の関連債券

農林中央金庫
5兆5,000億円
三菱UFJフィナンシャルグループ
3兆3,000億円
日本生命保険
2兆6,300億円
みずほフィナンシャルグループ
1兆2,000億円
第一生命保険
9,000億円
中央三井信託ホールディングス
7,584億円
三井住友フィナンシャルグループ
2,198億円
大和証券グループ本社
1,500億円
8社計
15兆円







日本の金融機関合計
23兆円
2008年9月   副島 隆彦 

 以上引用を終わるが、9月26日予定をしている弊社主催の副島隆彦氏の講演会には是非、出席されて勉強をされ「各企業の生き残り戦略の構築」の練り直しをされたらいかがだろうか。
              

(株)データマックスでは9月26日(金)に副島隆彦意を講師に招いてセミナーを開催します。
セミナーの詳細とお申込みはこちらから >>


※社名の記載に間違いがございました。訂正してお詫び申し上げます。
誤:三菱UFJファイナンシャルグループ → 正:三菱UFJフィナンシャルグループ
誤:みずほファイナンシャルグループ  → 正:みずほフィナンシャルグループ
誤:三井住友ファイナンシャルグループ → 正:三井住友フィナンシャルグループ

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