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特別取材

破綻したリーマン・ブラザーズが日本でやったこと(下)|東京レポート
特別取材
2008年9月21日 09:30

ライブドアに乗っ取り資金

 在日代表の桂木氏は収益の拡大を目指し、出遅れたM&A(合併・買収)業務の強化に舵を切った。最低でも200億円以上の大型案件にこだわった。案件が大きければ大きいほど、手数料収入が膨らむからだ。大型案件に狙いを定めた桂木氏は、敵対的買収に投じることもいとわなかった。

 05年初頭、劇場型M&Aとして日本中を沸き立たせた、ホリエモンこと堀江貴文被告=有価証券虚偽記載容疑で公判中=が率いるライブドアによるニッポン放送乗っ取りへの資金提供である。
 もともとニッポン放送株を買い占めていたのは村上ファンドの村上世彰被告=インサイダー取引容疑で公判中=。高値売り抜けを狙った村上被告がホリエモンにニッポン放送の乗っ取りをけしかけた。ライブドアに肩代わりさせて売り逃げるためだ。

軍資金800億円は、リーマン・ブラザーズ証券が、貸し手が確実に儲かるMSCBと呼ばれる転換社債を引き受けて用立てた。株価が下がるほど儲かる条件で引き受けたリーマンは、空売りで株価を下げると、すかさず社債を株式に転換して売り抜けて、150億円の利益を得たとされる。こんな荒業は、リーマンが格下の投資銀行だからできた。

 大金が絡むとトラブルが生じる。リーマンにライブドアを引き合わせたのは経営コンサルタント会社の社長。だが、成功報酬をめぐって、リーマンとコンサルタントの社長が喧嘩を始めた。資金調達を企図している企業を紹介したら、取引額の0.5%を支払うという紹介契約を結んでいたからだ。社長は800億円の0.5%に当たる4億円の支払いをリーマンに求めた。ところが、リーマンは引き合わせてもらっただけと支払いを拒否。とうとう裁判沙汰になった。これで、M&A資金の仲介には巨額な成功報酬が動くという舞台裏がバレバレになってしまった。

371億円を騙し取られる

 巨額な資金が右から左に流れていくマネーの世界は、典型的なコン・ゲーム(だましあい)。リーマンは、マネーゲームで一杯喰わされた。リーマンを手玉にとったのは、医療再生事業会社・アスクレピオスの前社長、斎藤栄功(しげのり)容疑者ら4人。今年6月に詐欺容疑で逮捕された。4人は昨年10月、リーマンに大手商社の丸紅とアスク社が共同で事業を展開するように偽造した丸紅社長名義の稟議書などを示して、病院再生事業への出資を持ちかけて、371億円を騙し取った。

 「リーマンがアスク社と交わした契約は、371億円を出資すれば半年で402億円を償還するというベラボウな内容。年利に換算すれば25%という異常な高金利。こんなうまい投資話があるわけはない。これでは、高配当という儲け話にカネを出して、詐欺師たちに巻き上げられるお年寄りと変わることはない」と金融関係者が驚いたほどの野放図であった。

 リーマンがアスク社に手玉にとられたのは「二流の焦り」。ゴールドマンに追いつき、追い越せでノルマ漬けにされた社員が、400億円規模の大型案件に釣られて飛びついたのだ。桂木氏は「日本では利益を出している」と威張れないのである。
 米国政府が、米リーマンに公的資金に注入しなかったのは、リーマンが二流の投資銀行だったからだ。一流であれば、政府が救済したのは間違いないだろう。結局、日米両国で、リーマンは二流の壁を超えられなかった。

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