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コダマの核心

麦踏されてこそ企業は強くなる、独白!ディックスクロキ会長・黒木透氏(前)
コダマの核心
2008年9月24日 13:30

真のビジネスパートナーがわかる

 ジャスダックに上場しているディックスクロキ(本社・福岡市中央区)に関する問い合わせが殺到している。9月19日夕方、設計事務所の所長から「私は信じていないが、友人からディックスクロキが潰れたと電話が入ってきた。真相はどうなのか?」と問い合わせがあった。
「大変であることは間違いないが、潰れることはない」と即刻、返事をした。このような非情な噂が同社には無数、伝わっているのであろう。早速、会長・黒木透氏に取材した。
 同氏は宮崎県出身だ。田舎での子供時代を回顧しながら「冬場の麦畑で麦踏をした。踏まれて踏まれて、それでようやく強い麦になる。まさしく今、我が社が麦踏されている状態だ。だが、強くなるための試練だ。大丈夫、冬場を必ず乗り切って見せる」と意気軒昂である。ディックスクロキに関する経営指標などの詳細な解説は近々、レポートする予定であるのでそちらに譲ろう。ここで触れたいのは、風評の根拠が「外資ファンドが総崩れしたことで購入キャンセルが生じ、おおごとになっている」ということである。上場以降、順調に歩んできた同社も、一つの試金石に立たされている。過去の躍進を支えてきた経営戦略も、方向の転換を余儀なくされていることは事実である。

 黒木会長としては日々、感情を露にしたくなることも多々あるそうだが、自制して冷静に応対することを肝に銘じている。同会長は、共同事業をしたこともある「親しい付き合いをしていたはず」と思っていた不動産会社のトップが、ある家主に、「ディックスクロキさんが危ないから管理は当方に廻されませんか」と耳打ちしたことを聞いたそうだ。逆上したいほどの衝動に駆られたのも当然だったが、ビジネスに徹した処置をした。家主さんには、「心配であれば、家賃の1ヶ月分を預けましょうか」と通知したそうだ。家主さんは「いや、心配には及びません」と返事をされたとか。「親しい間柄だと思っていたのは、当方の錯覚であったな」と、黒木会長は反省する。

 「簡単に掌を返す人たちを目の当たりにすると、人間の浅ましさが嫌になることもある。しかし、一方では、意外な人たちが手を差し延べてくれる」と、世の中の面白さ、人情の機微を語る黒木会長である。あるオーナー経営者が「黒木君!! 大変なら相談に来い」と救いの手を差し延べてくれた。その言葉に甘えて、物件1棟を販売した。「厳しい局面の時にこそ、相手の真情がよくわかる。経営を健全化することができた暁には、真のビジネスパートナーとして、仕事をさせてもらう」と決意を表明する黒木会長である。同会長の経営者として、また、人間としての器量が、一回り強く鍛えられたようだ。

先手を取った2009年第一四半期決算

 ディックスクロキに関する風評の根拠として、2008年3月期の決算内容がある。売り上げ268億円、当期利益8億5,400万円と堂々たる内容であるが、借り入れが183億円計上されていることが問題になっている。過去の決算であれば、決算時において予定していた商品を売り切って、借り入れを圧縮していた。ところが、前期は売り切れずに在庫を抱え、借り入れ残額が2007年3月期よりも70億円膨張した。噂の由来が、すべてここに帰結している。「他の同業者と同じく、ディックスクロキも在庫処分に困っている」と。

 不動産価格がつるべ落としで下落することが、予想される。「ディックスクロキは所有不動産を売却すればするほど、赤字が続出する」と関係者が憶測するのは勝手であり、当然であろう。その心理を先取りして2009年第一四半期(2008年4月から6月)には16億3,000万円の棚卸資産評価損を計上して20億円近い赤字を出した。今後の販売処理における損失を、最大限に想定した赤字の積み上げだ。黒木会長の経営手法の特徴として「最悪要因はすべて先んじて計上する」ということがある。今回の事態においても、「先んじる経営手法」が好展開をもたらしている。「負の要因を後から表に出すのでは、信用されなくなる」というのが、同氏の経営哲学である。

つづく


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