ネットアイビーニュース

NET-IB NEWSネットアイビーニュース

サイト内検索


カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

特別取材

【倒産を追う】勝者無きクーデター | インベスト総括(2)
特別取材
2008年10月 2日 09:30

実現性の乏しさは歴然

 債権者は代理人の人数についても許せなかった。早川氏は4名の代理人弁護団を編成したが、「その費用分を配当に回せ」という指摘だった。小笠原氏らが申請した会社更生法の段階で、代理人弁護士、監督委員などによる財務・営業状況の調査は進んでいるはずで、今回の「大弁護団」がどこに力を注いだのか疑念を持ってしかるべきだろう。

 小笠原氏が会社更正法に際して依頼した弁護士は3名だった。振り返れば、小笠原氏らが6月30日に会社更生法を申請した後、債権者説明会が開催されたのはわずか4日後の7月4日。今回は、その取り下げが認められた8月28日に民事再生法を申請し、およそ20日を経てからの開催となったのにもかかわらず、提示された資料は大まかな負債のみというものだった。

 スポンサーの有無について具体的な発言は無く、記者会見時に語られた「いくつか話があるので検討したい」というレベルで終止した。マンション販売は、イメージが消費に直結し、多額の資金を要するため、一度破綻してしまうと再建が非常に困難な業態である。現在の資産がどれだけあり、それをどのように処理するのか、スポンサー候補がいれば、いつまでに絞りこみ、どういう支援を模索するのか。こうしたことについて、明確に決まっていなくとも方向性だけは示すべきであろう。現実的に考えて、わずかに存続の可能性があるとすれば、賃貸管理会社への業態変更だろう。優良な不動産を売却せず、弁済額の大幅カットと長い返済期間で存続を模索することは可能かもしれない。それにしても、スポンサー無しでは限界がくるのは目に見えており、管理会社のインベストサービスも同業者の草刈り場になるのは必至。早川氏は何のために復帰してきたのか。
 
代表復帰の真意はどこに

 常人とは異なる感性を持つと言われる早川氏だが、相当の覚悟を持って復帰したのは間違いなさそうだ。

 今回、新たな情報はほとんどなかったが、明らかになったことがいくつかある。そのなかで唯一、インベストとして具体的な動きが見あったのが、不動産権利書送付の事実である。これは宙に浮いていた15名分の処理が完了したことを意味するが、供給戸数も少なく、販売が極端に落ち込んだ時期に15名分の権利書が遅れること自体が異常。権利書送付は預かり金返済と連動するだけに、早川氏の心理の一端を垣間見ることができるのではないか。

 債権者は早川氏の刑事告訴を検討している。小笠原氏らは、会社名義のカードによる現金の引き出しや、取締役会を開かずに在庫物件を担保にして資金を調達したことなど、早川氏の違法行為を指摘しているが、早川氏が復帰することで「修復できるものもあるのでは」と指摘する声もある。いずれにせよ、早川氏が自由度のある民事再生を選択したという事実だけを見れば、弁護士が語った「本心から返却したいと思っている」というのは信憑性を帯びてくる。会社再建が絶望的と見られるなか、少しでも多い配当は至上命題である。

つづく


※記事へのご意見はこちら

特別取材一覧
NET-IB NEWS メールマガジン 登録・解除
純広告用レクタングル

2012年流通特集号
純広告VT
純広告VT
純広告VT

IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル