6日、衆院への転身が取りざたされていた東国原英夫宮崎県知事が、事実上の不出馬宣言を行なった。背景には宮崎県民の知事への「猛反発」がある。
国政への挑戦と知事の座との間で揺れ動いた同知事の姿勢に、県民の反発が起きたのは当然であろう。同時に知事の言動には、地方自治を否定しかねない危うさも感じる。
東国原知事は、県知事選挙で「宮崎をどげんかせんといかん」と言って県民の期待を集めた。就任後も積極的に宮崎県のPRに努め、セールスマン知事としてそれなりの評価を受けていたはずだ。
県議会との調整に困難がともなうことは、当初から折り込み済みだったはずで、それでも県民の高い支持を背景に自身のマニフェスト実現に邁進するものと思っていた。
しかし、騒動が始まってからの知事の言葉は、日を追うごとに前のめりに。最後には「県民の意見を聞いて」「県民が国政で汗をかけと言えば」などと、宮崎県民に下駄を預けてしまった。実に無責任な話である。結果、テレビ・新聞で報じられる宮崎県民の意見は当然ながら出馬に「反対」。「一票を返せ」との辛らつな声も報じられてしまった。あきれたのは「自民党をどげんかせんといかん」というセリフである。宮崎をどうにかするために知事になったはずなのに、任期の折り返し前に目的変更かと疑いたくなる。
同時に、今回の知事の姿勢は、有権者に「知事では宮崎をどうにもできない。国会議員になればできる」という誤解を与えてしまう危険性をはらんでいる。強大といわれる知事の権限をもってしても、地方は良くならないと言っているようなものだからだ。任期半ばで見切りをつけるくらいなら、知事失格であろうし、地方分権だの自治だのと騒ぎながら、やはり国会議員に頼るのかと思いたくもなる。
地方自治の否定にもつながりかねない東国原知事の出馬騒動。知事の権威を貶めただけに終わる可能性が大である。
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