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東京レポート

大東建託の身売り話が頓挫(下)
東京レポート
2008年10月 9日 09:34

リーマンと組んだアパートローンの証券化

 金融危機は、大東建託のビジネスモデルに逆風をもたらした。今年9月に経営破綻した米投資銀行、リーマン・ブラザースが、大東建託の顧客向けのアパート建築費用を融資していたからだ。リーマンの破綻で、新規融資はストップした。 
 米国発の金融危機が意味するものは、新自由主義の崩壊である。石油危機を機に、米国はより強大な資本主義を目指し、市場の原理を使って自由競争を行ない、マネー経済を拡大していく道に踏み出した。そのビジネスモデルとなったのが投資銀行だ。

 投資銀行とは、個人が預かった預金を元手に企業に融資を行なう商業銀行や個人客の株売買を仲介する証券会社とは違う。個人を一切相手にしない。M&A(合併・買収)を仲介したり、デリバティブ(金融派生商品)などの金融商品を機関投資家に売ったりする法人向けのビジネスが主体だ。80年代の規制緩和によって、商業銀行や証券会社が投資銀行業務に進出。その1社が、リーマンだった。

 大東建託とリーマンは密接な関係にあった。リーマンが得意としていたのが不動産の証券化だ。年間2,000億円から3,000億円規模の不動産融資を実施。融資をまとめて証券化し、機関投資家に転売していた。
 その代表格が大東建託との提携だった。リーマンは大東建託の顧客がアパートを建設する際の建築資金を証券化を前提にノンリコースローンの形で融資していた。保証人なしで融資を受けられ、担保不動産以外の保有資産を差し押さえられない特徴がある。金利は高くなるが、アパート以外の資産を処分してまで債務の返済を求められることはない、というのがウリだ。証券化されたアパートローンは国内初であった。

 大東建託の顧客が建築資金として調達した資金のうちリーマンから借りた割合は、全体の13%に相当する500億円にのぼっていた。しかし、リーマンが破綻したため、この手法での資金調達が使えなくなった。
 株式非公開化計画が挫折した大東建託は、今後、どのように変貌とげるのか。M&Aの期待がはずれ、株価は下落を早めている。(日下淳) 


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