丸美に関する、以下のような投書が寄せられておりますので、ご紹介致します。
あぁ、自己責任 ―そしてぼくは途方にくれる
『創業30周年記念 株式会社丸美 無担保拡大縁故社債(少人数私募債)』を12口買っています。年利7%、償還3年です。2006年8月29日に6口、同年10月30日に6口申し込みました。欲を出したばかりに、こういうことになってしまい、途方にくれています。「自己責任」と受けとめています。
恥を白状しますが、私は今回の丸美の件以前に5,000万円ちかい投資被害の経歴を持っていました。二度と旨い話には乗るまいと肝に銘じたはずだったのに―。
余談ですが、私が契約していた「第一火災海上保険相互会社」も「千代田生命保険相互会社」も破綻しました。どちらも保障内容の水準を落として、第一火災海上は「損害保険契約者保護機構」に承継され、千代田生命は「AIG」に買収されました。今度はAIGが危ないというのですから、やれやれ、保険会社より私のほうが長生きしてしまいそうです。「AIGスター生命保険株式会社」は誕生してまだ10年にもなりません。まったく何を信用したらいいのでしょう。どうしてこうも下手な経営者ぞろいなのでしょう。―そして、ひっきょう私の「自己責任」です。
「年利7%」「知人を紹介すれば多額の謝礼」、痛い経験をしてきていた私は危うさを覚えないでもありませんでした。所有するマンションの管理会社でなかったら、さすがに丸美の社債に手を出すことはなかったでしょう。…何度も足を運んで熱心に勧める「株式会社近未来通信」を、「あやしい」と判断してやっと断ったのは丸美の社債に手を出す半年ばかり前のことです。
当マンションの管理が丸美に移ったのは2006年2月1日でした。管理組合の理事の一員である私は、理事会のたび丸美から出向いて同席する担当者と顔を合わせることからの心安さがありました。…こんなこともありました。同年8月半ば、最上階にある私の居宅に雨漏りが発生しました。共有部分である屋根からの浸水なので管理組合で修繕してもらうことになったのですが、立ち会ってくれた「マンション総合管理事業本部リニューアル部」の社員も朴訥とした印象でした。社債の案内が初めて届いた時分には、そんな背景がありました。
年利7%に目がくらんで、定期預金を解約して申し込んでしまいました。翌々10月、「好評につき」ということで追加募集の案内がきました。今度は国債を売却して応じました。案内はその後も続きました。一度カモになると、かさにかかってくるみたいですね。「社債」「ロマネスクリゾートクラブ」「オネストワン」、りっぱなパンフレットにDVD付きです。すべてとってありますが、かぞえてみたら1年のうちになんと9通です。「金のなる木」でも栽培していると思っているのでしょうか。電話勧誘も再三ありました。あげく「紹介キャンペーン」です。
「大丈夫かなぁ」危惧しながらも、申し込みから1年後の1回目の利息は税金を引かれて無事振り込まれました。私は2006年8月29日と同年10月30日に申し込んでいますので、2回目の利払いを楽しみにしていた矢先、そして心配ではあるが3年償還だからあと1年、まさか理事会でいつも担当者と顔を合わせているあの丸美があと1年もたないことはよもやあるまい、くらいに構えていた矢先のことでした(もっとも根が強欲な私のこと。無事3回目の利息を受け取ったら再投資したやもしれません)。
老後の備えになけなしの貯えを投じられたご年配の方もおられると聞いています。民事再生法適用申請の直前に買われた方もあると聞きます。私なんかよりよっぽど悲惨だと慮ります。私に権限があるなら、日本銀行券を印刷しまくって被害者に配ってまわりたい。
金丸氏には隠し金があるとの噂です。ほんとうだとしたら許せない、腹立たしいかぎりです。しかし法律は、株式会社丸美の債務が金丸氏の個人財産に及ぶとは規定していません。9人も弁護士を雇う資力があるのなら(弁護士費用は債務者丸美から支払われるのです)、この期に及んで会社の資産を減らしてまで保身に武装するより弁済に充てるべきです。謝罪の気持ちがほんとうにあるのなら個人財産は全部投げ出してほしいものですが、強要はできません。不条理です。非情な現実ですね。―でも、ふと、自分が金丸氏の位置におかれていたら、と想像してみるのです。たとえ世界中が火事になろうとオレさえ楽しけりゃいい。いつでもお茶が飲めるとあらば世界なんて滅んじまったってかまわないさ。私もそんな大多数の一人なのです。
金丸氏は手厚く「法」に護られ、ほとぼりが冷めれば、隠し金を引き出してのうのうと生きてゆかれることでしょう。大枚の報酬を受け取った辣腕弁護団が鉄壁の布陣を敷いています。弁護士費用なんて痛くも痒くもない。金丸氏が払うのではない。会社から引き出すのですから。債権者は弁済に充てられるべき原資が目減りしてゆくのを、指を咥くわえて恨めしくながめることしかできない。今回の失敗を教訓に、金丸さんはいまに大成功されるやもしれない。隠し金を元手に。金丸近の前途に益々の幸運あれ! …氏に詐欺罪の判決を下すのは容易ならざることでしょう。
自己責任はつらいものだなぁ。自己責任の重さに圧し潰され、世の不条理に悶々と眠れぬ秋の夜長。―小さいぞ! 小さすぎるぞ! 刻々移りゆくこの広大な三次元空間で、なんて取るに足らぬこと。己の卑小さが厭になる。
※記事へのご意見はこちら